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「したたか、だったな」
まさしく一瞬前の会話を体現したような女の子だった。他人からの評価により自己を形成する。
いちかちゃんに計算があるのかはともかくとして、くるみちゃんには確実に計算があり、そしてその上で自分で宛がった役を演じている。まさしく、したたかだった。
御子野瀬さんは書類で彼女の来歴を見ているらしかった。ああいう性格になった背景でも探ろうとしているのだろうが、最近の若者というのは大抵あんなものだ、と僕は内心で思っていた。男子校の、少ない友人の中にもああいった人種は居た。周りに合わせ、周りの目を気にし、それに準じ変容する。カメレオンのようなものだ。
僕はそれになり切れいてないが、根本では似たような体質なのかもしれない。
こうあったほうが、この場面では滑らかにことが進む。そんなことを考えて、言動をしているのかもしれない。それはあえて挨拶で噛んでみたり、面接官然とした態度を取ってみたり。
いやいや、こんなものは自覚すべきではない。
何より、
「次で最後だ」
もうすぐこの一次試験は終了する。今考えたところでどうなることでもない。
瞬く間に僕は選別の段階へと移らないといけないのだ。これまでの九人と、これからの一人、全十人から、三人を脱落させる。僕がここに呼ばれたのは、女の子ときゃっきゃうふふと会話をするためでも、自分とはなんたるかを悟るためでもない。
僕は選別し、最終的に彼女たちのうちの誰かを妻として迎える。
それだけだ。
多くを、深く考えることは、この際脇に置いておく。
そんなことをしようがしまいが、時間は過ぎ、選択を迫られる。その繰り返しなのである。




