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そんな会話のあとだったからか、次に入ってきた女の子を見てぎょっとした。喜色満面の笑みでひとり「うふふ」と声を漏らしている。高い位置で結んだツインテールはくるくるとカールし、長い螺旋階段のようだった。どちらも頂上には赤いリボンが付いている。
てくてくと席まで進んでいくと、
「着席します!」先制し、「ぴょこん!」
着席した。
くりくりの両眼を忙しなく動かして、教室内を見回している。その挙動が気になり思わず、
「な、何か?」
問うと、つーんと顔を背け、
「教えません、だって長嶺さんは敵だもん!」
と訳のわからないことを言った。
なるほど方言だけでなく、言葉が通じない人種というのは存在する。
御子野瀬さんも驚いたような面持ちで彼女を見ていた。しきさんとは別の意味で苦手そうに見える。
「はーじめていいかな」
依然として顔を背けたままの彼女に御子野瀬さんが声をかけると、顔の位置をそのままに目線だけこちらに向けて、
「始めてくれてもいいですけど!」
言い放つ。
視線に気づいて隣を見ると、僕も彼も、口をあんぐり開けたままだった。




