三話 ユキ
気まずい夕食を終えた後、俺は部屋に戻り俺の彼女『ユキ』に電話をかけた。毎日最低5分は会話する。それがユキと俺のルールだ。
「もしもしユキ?」
『うん。そうなのだ!チー君の可愛い彼女ユッキーことユキなのだ!!』
開口一番夜中にもかかわらずテンションの高いユキの声がイヤホンから聞こえてきた。ああ、これは機嫌が悪いな
「ごめんなユキ。電話が遅くなって」
『ふーんだ。どうせチー君の事だから海の家にきた水着のおねーさんをジロジロみて鼻のしたのばしてるんだーい』
「俺はお前の中ではそんなキャラなのか!?」
『なのだー。ってチー君で遊ぶのはこの辺で許してやるのだ。チー君が頑張っているのは私もわかってるから。そんなチー君が好き!!』
ユキはいっつもこっぱずかしいことを堂々と言える。そんな所がユキの魅力で俺が憧れている所だ。まあ欲を言えば告白は俺からさせて欲しかったかな。
「ああ、ユキ俺もユキの事が大好きだよ」
『いんや、私の方が好きだね』
「で、今日の夕飯なんだが」
『ちょっ!?チー君そこは「いや俺の方が好きだね」でしょ!?』
ユキは反応が面白いな。
「ぷははは。さっきのお返し」
『うー。チー君の意地悪。ところでチー君が今いるのって○○市の**海岸ってとこだよね』
「うん?そうだけど」
『おじいちゃんの名前って何なの?』
「磯辺大河だけどなんで?」
『ほー、かっこいい名前だね。』
「まあ、そのかっこいいじいちゃんは入院中だけどな」
いきなりどうしたんだろうか。ユキの奇行は今に始まった事ではないが。
『んじゃあ明日は早いから寝るね』
「明日なんか予定あるのか?じゃあ電話はしない方がいいか?」
『ちょっと大好きな人に会いに行くのだ。電話は必要ないよ』
必要?
「そっか、じゃあお休み」
ほいさーと言ってユキは電話を切った。
さてと俺も明日も海の家が忙しいから寝るかな。