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九話 決闘?

「で、千歳。まだ自分の力でかねを稼ぐこともできんお前がなぜ彼女など作った」

病室の室温が少し下がったような感覚に陥った。

こうなることはわかってたんだ。覚悟を決めて来たんじゃないか。

「…ああ。お互いをもっとよく知り、強くつながるためにな」

「つながってどうする。婿入りでもするのか」

間を置かずじいちゃんが返す。


隣でユキが息を飲むのを感じた。当たり前だ。まだ俺たちは高校生。結婚なんてまだ考える年でもない…。でも、じいちゃんは、じいちゃんは俺に、『俺達に』問いている。一緒にいる意味を。何故付き合うのか、何故付き合っているのか。

婿入りという言葉の重みが俺を押しつぶす。


何故何故何故何故何故何故…

頭の中でループする。ここにくる前にしたシュミレーションなど吹き飛んでいた。どうすれば何故なんだ…付き合うことの意味。


答えの出ない口が開いたままになっている。俺の顔を見ているじいちゃんにはさぞかし間抜けに見えているのだろう。


思考のループに俺が沈み込んだ時、ふと右手に柔らかな暖かさが伝わって来た。

…ユキの手だ。


ああ、そうだった。簡単なことじゃないか。ユキと付き合うと決めた時から分かっていたことだ。それの再確認…いやちょっと違うな。この形のない思いを『言葉』、つまりものにしてここに具現化するんだ。付き合うことの重みを。

俺の頭に清風が吹いた。肩のここから逃げたしたくなるような重みは消えていた。


ありがとうユキ。


いつの間にか俺の顔は笑っていた。


ユキの手をにぎり返す。

「婿入りはまだするか決めていない」

「では何故だ。…決まったのだろう、決めたのだろ」

じいちゃんに心を見透かされている気がする。やっぱ俺はまだまだガキだな。朝山さんや夕霧さん、みなとさん達を見て気づいていたじゃないか。先輩のアドバイスを大切にしなきゃな。もし俺が間違っていたら正してくれる。ならこれはただの答え合わせだ。


「決めたんじゃない。決まっていたことを再確認したんだよ。俺がユキと付き合うことの意味を」


それは



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