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06 帰宅して

少し更新が遅れてしまいました。5話から、時間や視点が変わっているので、お気をつけください。誤字などありましたら、ご指摘を。


「……で、要するにお前は、夢占いなんてチンケな店を訪れた挙句、そこの庭先で美少女とバッタリ遭遇するというラノベラノベした展開を繰り広げやがったわけか。そういうことなのか、篠川」

 「いや、ラノベラノベしてるかは知らんが、まぁ、そういうことだ。」

 俺は曖昧に返答を返す。

 「俺を家に放置しておいて、か」

 「……おう、いや、別にそんなつもりはなかったんだが」


 俺を鷹の目でにらめつけるパク(本名、田中勇太)。無理もない、丸々3話分は置いてけぼりだったからな。残念。だが、読者様はさぞかしこれからのお前の活躍に期待しているだろうよ、頑張れ。 


 パクをなだめた俺は、姿勢を正す。正座、である。真面目な話をしているからな。

 しかし、この正座と言うものにはいかんせん慣れない。体と床の間に脚部を挟めて固定するとか、冷静に考えるとある種の拷問にしか覚えないだろうコレ、とかなんとか、1人でぶつぶつぼやいていると、パクの野郎が珍獣でも見るような眼光を浴びさせてきた。俺は人間だ。コノヤロウ。

 

 「お前のその根も葉もない罵倒も久しぶりだな」

 「だろ?」

 

 俺は時計に視線を向ける。

 あの夢占い屋の庭先の出来事から、2時間はたつ。

 

 あの後、どうなったのかって? まぁ、少し待ってろって。

 

 さて帰宅した俺なのだが、帰ってからはパクに質問攻めをされている。

 何処に行ってたのか、何をしていたのか。

 お前は俺のおかあさんか! とも突っ込んでやったが、当のパクは何を言っているのか分からなかったようで、残念ながらネタが伝わらず自滅。あのヤロウ、冗談も通じないのか。


 結局、あまりのしつこさに俺も口を割った。減るもんじゃないしな。


 俺は不承不承にだが、今日の出来事を語った。

 

 まず今日の朝、あの「悪夢」を見たこと。それの相談のため、夢占い屋を訪ねたこと。


 そして、夢占い屋で、あの「少女」に出会ったこと。


 いや、君たちはもう名前を知っているだろう。何を言っているのかサッパリ分からんという君は、5話を見てくれ。

 

 そう、白樺加奈子である。夢占い屋を、あの少女が1人で切り盛りしているのだ。


 と、ここまで、一気呵成に口から吐き出したところでパクが口を開いた。

 それが、最初のラノベがどうとかいう台詞だ。というかパク、お前、ラノベとか読むのかよ。意外。


 「でも、会ってサヨナラ、じゃないんだろ? ちゃんと占ってもらったんだよな」

 「もちろんだ。しかし…………」

 

 しかし? とパクが首を傾げた時、部屋のドアが開かれた。

 いや、開かれた、というより、弾き飛ばされたに近いかも知れない。

 俺らが漠然としていると、そいつは、警察の機動隊を彷彿させるような俊敏な動きで飛び込んできた。 見事に3点着地し、両手を広げ、

 

 「ちゃお!! 面白そうな話してるねぇ、私も仲間にいれてよ!!」

 

 ……懐かしいというか、最早死語じゃないか? その挨拶。


 隣のパクに目を向けると、数秒は豆鉄砲くらったが如く、口をポカーン、と開口していたが、途中で俺の視線に気づいたようだ。ニコニコしている(何が面白いのか)彼女に向かって、

 

 「姉ちゃんさ、入るならノックぐらいするのがマナー何じゃないかな…………?」

 そんなため息交じりの言葉に、その「姉ちゃん」は、「いやぁ、ごめんごめん。討ち入りじゃないもんね」と満面の笑みで応えた。いつの時代の人だ、あんたは。


 ……さて、諸君、紹介しよう。

 

 彼女こそ、パク、つまり田中勇太の実姉にして、女性警察官、田中裟乃子たなかさのこさんである。


 たしか、パクの奴より、6、7歳年上だったはずだ。黒髪のショートヘアーと、ジーパンにパーカーというラフな格好は、活発な印象を見る人々に抱かせる。まあ、実際かなり活発で、軽快な女性だ。パクと同じく、顔立ちはかなり整っている。美人の部類に入ることは間違いない。


 「ねえねえ、勇太ぁ。何の話をしてたの?お姉さんにも聞かせてよ」

 裟乃子さん、そんな楽しい話じゃないっすよ…………。

 

 パクの奴は俺に、話してOK? とアイコンタクト。「勝手にしろ。言っても別にかまわん」と俺はおもいっきり口頭で伝えてやった。 


 「いやいや、かくかくしかじかで…………」と、パクが状況説明。てか、それで伝わるのかよ。

 「なるほど、かくかくしかじか、ね。よく分かったわ。」

 伝わったのかよ。便利な言葉だな、おい。



 「まさか、篠川君にそんなえげつない性癖があったなんてね…………」

 伝わってなかったァーーーーーーーーーーーーッ!!何の話だ!?

 「冗談よ、冗談。夢占いの話ね。」

 ……あぁ、そうですか…………。

 

 「とりあえず、姉ちゃんも加わったことだしさ。話を再開してくれよ、篠川」

 パクがしつこく催促してくる。さっきもそうだが、こいつのしつこさは、ある種の神懸り的なものがあるのかと疑ってしまうほどだ(自分で言っててよくわからんが気にしないでくれ)。


 「私も気になるわね。悪夢なんて、私生まれてこの方、見た事がないわよ」

 裟乃子さんも俺に早く早く続きを促してくる。つい、金の取りたてとか、この一家向いてるんじゃないかな、とか失礼千万なことを考えてしまった。もちろん口には出さんぞ。家から追い出されたらかなわんからな。


 

 ……さて、俺も口を開こうか。


 「まず、夢占いの結果だが―――――――――」

 


 

 

 

 

 

 


 

 

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