空の蒼
「あぁ、また今日も始まるのね」
雲一つない青空の下で、私はそう呟いた。
高校2年、相良晴留。
部活は美術部だが幽霊部員だ。
変わらない毎日に嫌気がさすが、この何気ない日常をぶち壊すだなんて大それたことは出来るはずもない。
「転校生を紹介するぞー」
その言葉と、入れ、の後、そいつはやってきた。
そいつは襟足を軽く伸ばした色素の薄い髪に、蒼い目をした、いかにもな外国人。
「ハロマ・ソウジロウです、はじめまして」
似合わない。
ソウジロウってなんだよソウジロウって。
親が日本通?侍ファン?
「席は相良の横なー、相良手ぇ挙げろ」
「はーい」
にやける口元をどうにか抑えて手をあげる。
「さがらさんよろしくおねがいします」
たどたどしい日本語だ。
そう思いながら視線をソウジロウに合わせる。
「ぁ…」
空の色だ。
近くで見た彼の目は、蒼く澄んだ空の色をしていた。
その瞳に私を写して、ただ無性にそう思った。
6月23日火曜日。
私は蒼に囚われた