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いちじく にんじん
さんしょうじゃなくって
さくらんぼなんだよって
笑う子供
そんな些細な事に
しみじみと
時の流れを感じてみた
72
目が覚めて
おもむろに
抱きしめて思う
傍らにある小さな命の
ありがたさと愛しさ
73
睡魔に負ける
それはそれで幸せな昼下がり
74
野菜を切る
野菜を刻む
その作業が
予想以上に楽しくて
気が付けば山盛りのサラダ
75
美味しいご飯は
それだけで笑顔を連れてくる
おなか一杯の幸せは
家族みんなで味わえば
どんなごちそうよりも最高
76
愛を言葉で語るのは簡単だけど
それだけじゃ満たされない
愛を態度で示すのは難しいけれど
だけどそれだけじゃ伝わらない
人の心は複雑怪奇
77
静まり返る夜の街
人通りの少ない道の真ん中で
クルマがこないのをいい事に
小さく唄を唄い続ける
――ただひとりに届けと願いながら。
78
ふうわりと
薄紅の
カーディガン
羽織ってそっと
貴方に微笑む
79
おはようと
告げる言葉の心地よさ
朝の目覚めを
幸いと知る
80
ふかふかの玉子焼き
白いお皿の上で
ふわりと湯気をたてながら
黄色くつやつやと
いただきます