50
491
手を伸ばして
どこまでも伸ばして
光に透ける木の葉を
キラキラと光る木の葉を
つかもうとする子の愛しさよ
492
命の限り
生きて生き抜く
理屈ではなく
ただそれだけが
私の願い(存在意義)
493
ひとことだけ
もし許されるならば
あなたに伝えたい
密やかに秘めやかに
この胸の中の思いを そっと
494
祈るばかりで
動くことの出来ぬこの身を
嘆き続けてそれでも
変わらぬのはただ
貴方への思いばかり
495
甘い甘い言葉を
どうか私にください
何も考えられなくなるほど
甘く蕩けるような愛の言葉を
甘い甘い言葉を
どうか私にください
たとえそれが嘘であろうとも
気づかないほどに甘い言葉を
甘い甘い言葉を
どうか私にください
いつしかその言葉に
溺れて消え去るように
496
聞こえないはずの声と
有るはずもない感情を
向けられているような恐れに
気がつけば意味もなくとらわれて
心のうちで怯え震える幼子を
そっと抱きしめて
温もりをわかちあう
朝になればきっと
また歩き出せるように
今はただ
静かに
497
愛してるよ、と
言葉にしてしまうと
どこか儚いその思いが
消えてしまいそうで
どうか伝わりますように、と
両の腕に抱きしめて
ただ、願うばかり
498
手のひらを
じっと見つめて
思うのは
記憶のなかの
微かな温もり
遠く失われた
あなたへの追憶
499
わきでることばを
ただひたすらに書き留めて
書き上げ続ける
それが私といういきもの
500
誰も居ないと
1人だと
うずくまり涙をこぼす
けれど
うつむく視線を
そっとあげたとき
だいじょうぶ? と微笑む人が
ここにいるよ、と、囁く人が
ひとり、ふたり、またひとり
一人じゃないと
気づくまでの時間はかかったけれど
あなたにあえて よかった