5
41
静かな一人の午後
聞こえるのはわずかばかりの音
かちかちと時を刻む音に
遠く聞こえる電車の響き
一人過ごす秋の午後はとても優しい
42
とろりと心溶けだすような
穏やかな日の光のなかで
柔かな布団を抱えて
ぼんやりと
窓の外を眺めながら眠る
穏やかな昼下がり
43
夕闇に紛れて
風の中
そっと囁く
5文字の呪文
届けと願うのか
届かないでと願うのか
解らぬまま
そっと瞼を閉じる
遠く失ったあの人を思いながら
44
それがどんな想いだったのか
今となってはわからないまま
けれど心に燻るようなその感情に
未だ振り回され
ふいに零れ落ちる
それは涙か
それとも
45
私の綴る文字のその起源はすべて祈りであり願いなのだと
流されゆく日々の中で忘れてしまうことも多いけれど
思い出しては立ち戻る。
歩みゆく毎日の中で心に過ぎる願いであり祈りを
文字という形で綴りゆく
それが私にとっての創作なのだと改めてしみじみと思う。
46
語れよ 綴れよ 心のままに
それは文字として外へと広がり
いつしかまた新たな想いへと変わりゆく
語れよ 綴れよ 心のままに
浮かぶ言葉をただ文字として
猛る想いをひたすらに書き連ねよ
それはいつしか形となりて
静かな安らぎを私にもたらすだろう。
47
目が覚めて
傍らにある温もりに
堪らなくて
強く抱きしめれば
はじけるような笑い声が響く
いとし我が子に捧げる詩
48
朝の光
目覚めた太陽
風と共に
冷えた世界を
静かに暖めて
49
寒いからって言い訳して
ぴたりと身体をひっつけて
抱きしめて
ぬくもりをわけあって
顔を見合わせて
そっと微笑んだ
50
大好きと
忌憚なく全開の好意を
全力で告げてくる
そんな愛しい存在
抱きしめてもたりない