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471


溢れ出る感情は

とても強く激しくて

息ができないほど苦しいけれど


引き結ばれた唇から

こぼれ落ちるのは ただ

静かな吐息ばかり


感情を言葉にするすべを

いつから私は

失ってしまったのだろうか


代わりにほろりと

ひとしずくの涙



472


言葉の裏と

態度の裏に

どんな思いがあるかなんて

そんなこと


言葉にされなくて

態度に出されなくて

わかることが出来るほど


私は優しくは、ないのです。



473


まいおちて

地を染める

うすべにの

ゆめのあと


はなびらの

はかなさよ



474


心の中から

じわりと湧き上がる激情は

ふいに

抑えがたい狂気とともに

体の中から吐き出されて


苦しいと

泣くことも出来ずに

ひとり

うずくまる



475


あなたにひとつ

わたしにひとつ


オレンジの味と

りんごの味と


それぞれに味わいながら

顔を見合わせて

そっと微笑む


ふたりだけの

ちいさなひみつ



476


夕暮れの光のなかで

物悲しくひとり

ひとり呟く言葉は

はたして


風に紛れる

その声のように

思いもいっそ

紛れてしまえれば


穏やかな夜が来る前の

揺らぐひとときの感傷



477


窓の外

激しい風の音を

ひとり聞く

その寒々しさに


春なのに、と

呟く声を聞く人もなく




478


春の嵐の

風の音に


震えてそっと忍びこむ

小さな我が子の温もりを

胸にいだいて眠る夜



479


願うのは

ただ

一欠片の幸せ


青空に太陽が輝くように

太陽に若葉が透けるように


ささやかな

小さな

そんな幸せ



480


疲れ果てて眠る貴方を

そっと抱きしめて

その温もりにただ

癒されたあの頃


疲れ果てて眠る私は

そっと我が身を抱きしめて

遠く離れた貴方を

ひとり

静かに思うばかり


命ある限り

思い続けるばかり


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