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笑って笑って
だいすき と
ささやく声と笑い声
それさえあれば
私は幸せ
452
青空の
遠く遠く遠く
その彼方に浮かぶ
白い雲に手を伸ばす
掴めないことはわかっていながら
453
自己否定することはたやすい
けれど
自分を認めるのは難しい
うぬぼれるのはたやすい
けれど
自分を省みるのは難しい
454
いつもの帰り道
見慣れた風景に
かさりと
秋の音
455
両手いっぱいに
小さなドングリ
うれしそうに笑う
その顔に
そっとキスひとつ
456
記した言葉を
再び読み返したとき
そこに移る想いは
いつも同じ思いで
暖かく切ない
457
心の奥の奥底に
隠れてひっそりと
その思いと感情は
静かに眠り続ける
――開けてはいけない箱のように
458
想いのすべてを
吐き出すよりも
ただ一人静かに
それを抱きしめていたいと
そう願うだけなのです
459
コントロールできない
激情の遺伝子
できるのはただ
静かに受け流す技術
流れる血は争えないのだと
皆で笑った夜
460
失うことが
これほどのことだと
わかっていたつもりで
わかっていなかったのだと
過ぎ行くときの中で
強く思い知らされる