42
411
焼け付くような光の中
汗で額に張り付く髪を
気にせずかけてゆく子供の
その生命力が
心強くも愛しいのです
412
見詰めているだけで
自然と頬が緩むのは
何故でしょう
愛しいと
その想いがあふれ出るように
413
ここにあるのは
命の証
ここにいるのは
絆の証
貴方を愛した
思いの証
414
博愛主義と微笑んで
私は愛を撒き散らす
好きだよ大好き愛してる
惜しむことなく次々と
多くの人に送りだす
――言葉の奥に思いを秘めて
415
遠く
遠く遠く
今はもう手の届かない人よ
いつかまた
その笑顔を見ることができるよう
今はただ祈るしかできなくて
未練と笑ってください
未だに貴方を思い切れない
この私を
416
小さく小さく呟いた
思いをこめて呟いた
月がとても綺麗だね と
貴方にひっそり呟いた
夜風に紛れて呟いた
417
目の前の光に
目がくらんで
それしか見えなくて
まっしぐらに駆け抜けた
恋に恋した若い日の思い出
418
ほんの少し
ほんの少しだけでも
視線を変えることが出来たなら
私はきっと
貴方を失わずに済んだのに
私の目には
あのひとしか見えていなかった
――遠く懐かしき日々の未練
419
たったその五文字を
声にすることが出来なくて
伝えることが出来なくて
気が付けばもう遠く遠く
貴方の影すら思いだせない
420
雑踏の中
通り過ぎたとき
ほのかに
貴方の香りがした気がして
振り返ったけれど
人波の中
貴方の姿はどこにもなかった
あの香りだけが
私と貴方を繋ぐ縁なのだと
いまさらながらに哀しくて
そっと瞼を閉じた