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瞬く星に
願いをこめて
涼風巡る
宵の夜空を
一人静かに
ただながめてた
322
苛立ちも悲しみも
全部吹き飛ばしてと
夜風に吹かれ
静かに祈る
すべては暑すぎるせいと
季節のせいにして
そうすればきっと
明日は笑顔
323
町の明かりの向こうに
うっすらと輝いて
瞬くその星の
美しさと儚さが
心にしみる夜もある
324
流しの中の
お皿の使った水に
そっと手を差し入れて
その冷たさに
幸せを覚える瞬間
325
貴方が笑うから
釣られて私も笑う
私が笑うから
つられてあの子も笑う
そうしてつられて みんな笑う
326
のどかに
ゆらゆらゆれる
木の葉の色を
しずかに
見詰める幼子の瞳
327
ためいきは
気が付くと零れ落ちてゆく
心のかけら
328
さらさらと
流れる柔かな黒髪を
そっと二つにわけて
可愛く結び微笑む
我が子の成長を想う
329
信じられなければ
信じなくてもいいけれど
信じられなくても
信じておいたほうが
もしかすると幸せ、かもしれない
330
折り紙で 鶴を折る
意味などなく ただ
もくもくと 鶴を折る
まるで無意識の祈りのように