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緑色の
その茶の色と芳香に
ゆるりと心解けだしていく
312
涼風に
ふわりとゆれた
洗い髪
重く揺らいだ
梅雨空の夜
313
たったひとつ。
私が求めるのはそれだけ
たったそれだけなのです
他には何も、いらないのです
他には何も、欲しくないのです
314
一粒の
はんぶんの
さらにはんぶん
ちょうど四分の一が
今の私にお誂えむき
315
マイペースとは
思うに
唯我独尊なよりも
奔放であるほうがいい
316
目覚めは 朝日とともに
穏やかに緩やかに
促される覚醒は
静かに やわらかに
現実世界へと浮上する幸せ
317
涼風がひやりと肌を撫でた
夕暮れの空は赤く青く
夏の日の入りはまだ遠い
窓から空を眺めて ただ
風に吹かれて夕涼み
318
星空を眺めて
星座を眺めて
星の名前はわからないけれど
遠く遠い空から届く光の
美しさは私にも響くのです
319
のどかにのんびりと
緑茶をすする夜
遠く聞こえるのは葉ずれの音
時折聞こえる車の音
それ以外はただ、私がいるばかり
320
書けないから書かないというより
書かないから書けないのであって
でも
書きたいから書くんだけれど
書きたくても書けないときも ある