26
251
降りしきる雨に濡れて
ひとり
立ち尽くす君の
静かな笑顔は
どこまでも透明で
愛しくも哀しい。
252
沸きあがる激情は
果たしてどこから来るのでしょう
押さえ込んで微笑む毎日の中で
次第に軋みを帯びて
飛びだす時を待ち構えている
253
許されなくてもいい
許して欲しいなんて思わない
それでも
誰よりも愛していました
だから
誰よりも我が子が愛しいのです
254
解って欲しいなんていいません。
解ってあげるなんていえません。
だって
私と貴方は他人なのですから
255
握り締めた拳を
振り上げることのないように
歩く
日の昇る前の
薄ら明るい東の空に向かって
ひたすらに
ただ、歩き続けるのです
256
日は落ちたけれど
雨がやんだから
少しだけ
町を歩いてみる
雨の匂いと
草の匂いと
夕餉の香り
遠くから聞こえる
祭りの練習の太鼓の音に
心弾む初夏の散歩道
257
鏡をみなくなって
大分たつような気がします
目の前にある鏡から
目を逸らすようになって
みてるのにみないふり
気づいてるのに気づかないふり
258
ゆっくりと歩く夜道
空を見上げれば
雲に朧な月があって
ゆっくりとゆっくりと
月を眺めながら歩く
ひとり静かに歩く
259
小さな声で囁きかける
その声を
聞き逃したくなくて
じっと耳を澄ます
小さなその声の
優しい響きが好ましく
聞き逃したくなくて
じっと聞き入るのです
小さな小さな愛し子の声を
260
揺らぐ想いを
願いに変えて
抱える夢は
原初の祈りとともに
いつまでもとこしえに