24
231
眠たくて眠たくて
陽だまりの中でうとうとと
まるで猫のように丸くなって
柔かな草の感触を楽しんで
緩やかに午睡を楽しむ
232
私の意識のひとつ向こう側で
ふわふわと漂う明晰な夢を
捕まえて手繰り寄せて引き込んで
そうしてこの手に文字にして
私は物語を紡ぐのです
233
いつまでもどこまでも
一緒にいられると疑いもせず
側にいてくれる貴方が当たり前なのだと
それがどれだけ大切な存在なのか考えもせず
気がつけばひとり
234
文字を書き連ねるのはただ
書かずにはいられないからで
書かなくても生きてはいけるのだけれど
書かなければ私は歪んでゆく
気ついた時にはその歪は大きくて
元に戻ろうとする反動が激しくて
苦しくて辛くて哀しくて
だけど私は言葉を紡ぐのです。
ただ、紡ぐだけなのです。
235
乱れ舞う文字の群れを
目の前を過ぎる文字の大波を
ぼうやりと眺めながら
いつしか私は文字の洪水の中
自分の行く道を見失いたちつくす
それでもいつしか
自らの手で掴んだ文字を握り締めて
ただ
まっすぐに前に進む
それが私なのだから
236
ふうわりと漂う
味噌の香り
真っ白いご飯と
たまご焼きと
朝の食卓には
幸せがそんな形で
存在している
237
別れてどれくらいたったでしょう
今、貴方は何をしていますか
隣にはもうきっと誰かがいるのでしょうね
今、貴方は幸せですか
私は――幸せ、です。
238
小さな小さな願いです
わがままいうつもりはありません。
小さな小さな願いです
他には何にもいりません
だからどうか
小さな小さな願いが
適いますように、と
星空に祈る。
239
星空を見上げて
散らばる星を眺めて
けぶる星雲をながめて
ひとり
沸きあがる幸福感に漂う
240
ひとりじゃないんだ
ひとりのわけがないんだ
寂しいと孤独だと誰もいないと
泣き叫び喚き散らし暴れるけれど
ひとりじゃないんだ
ひとりのわけがないんだ
だって君のことが大好きな人が
少なくともひとり以上は
必ず側にいるのだから