22
211
降りしきる雨の中
傘もささずに
じっと
灰色の空を見上げる
のぞむのは青い空
212
桃色の
きらきらと光る石を
握り締めて
静かに祈る
――愛していました、と。
213
ひとかけらの
ことのはの
呟いたその響きを
静かに
受け止める夜
214
夕闇の
ひんやりとした風の
その冷たさに
ひとりわが身を
静かに抱きしめた
215
ならない電話を
握り締めた夜
鳴り響く電話を
遠ざけた朝
216
抱きしめて 微笑んで
その温もりに 頬寄せて
くすぐったそうに笑う君に
大好きだよって 何度も告げた
大好きな君へ送る詩
217
おこりたくないのです。
感情を揺らしたくないのです。
ただ穏やかに揺蕩うていたいだけなのです。
泣きたくないのです。
思いを揺らがせたくはないのです。
ただ静かに眠っていたいだけなのです。
だからどうか
どうか、私をそっとしておいてください。
臆病な私を、許してください。
218
紡がれる言葉は
果たしてどこから出てくるのでしょう
揺らぐ心に怯えて平穏を望みながら
けれど言葉は揺らぐ心を表して
紡がれるコトノハは静かにそれを形にする
紡がれる言葉は
果たしてどこからでてくるのでしょう
それはきっと、寂しがりな心の愚かにも美しい思いからではないのでしょうか。
219
泣き濡れた瞳で
じっと見詰めながら
ごめんなさいと呟いた
その赤い唇を
信じられなくて
じわりと焼けるような想いが
苦しくて
涙の代わりに
微笑んでみせた
220
何が正しいとか
どれが最良だとか
必死でそのとき考えて
選び出した道であっても
迷い迷って
果たしてこれでよかったのかと
いつもいつも 不安に揺れる
けれど 答えは
いつも目の前にあって
正しさや最良よりも
目の前で微笑む笑顔が
一番大事なものなのだと知る。