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191


手を伸ばせば

足を踏み出せば

きっと届くのだろうけれど

その勇気がなくて

祈るように組んだ手は

ただ静かに震えるばかり



192


ただ、そこにいてくれればよかった

ただ、それしか望んでいなかった

だから、言葉を伝えた

ひたすらに、好きだと伝えた


ただ、そこにいてくれればよかった

それしか、のぞんでいなかったのに


返された想いに戸惑い

私はただ


逃げるしかできない



193


すきだよと笑って

すきだよと繰り返して


だけど


アイシテル、なんて

それだけは、いえない



194


雨は嫌い


降り続く雨は、まるで

涙のようで


泣けない私は


だから


雨が、嫌い。



195


どれだけ想おうと

どれだけ願おうと


言葉にならない


伝えたい言葉があるはずなのに

けれど

私のうちの言葉ではたりなくて


ただ

想うことしか

願うことしか


できない苦しさ



196


じっと

涙を堪えて

見詰める瞳を


震える唇と

縋るようなその瞳が


言葉にできない思いで、ただ


揺らぐのを



――抱きしめたくても


できないもどかしさに


静かに、目を閉ざす



197


大声で

涙を振り絞りながら

泣き続けるその幼子の


魂の叫びを


両のかいなで抱きしめる


眠りに落ちるそのときまで



198


こころが哀しく乱れるのは

きっと

そらがないている所為



199


哀しくて苦しくて悔しくて腹立たしくて 

どうしようもなくて 


助けて欲しいと願いながらも

誰もくるはずがないと 

自分で自分を抱きしめて


そっと微笑んだ



200


怒るのも悲しむのも

笑うのも喜ぶのも


どれもこれも少しでいいと


揺れる心をもてあまして

ひとりため息を漏らす




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