13
121
哀れとわが身を思う
その空しさと切なさを
知っていながらなおも
身を切り売りするような
哀しい時を過ごす夜
122
ただそのぬくもりを
求めただけと思うのに
わきあがる空しさは
ただ
愚かな自分への戒めと知る
123
さよならを告げた夜に
忘れたはずのその思いを
ふいに
想いだしてしまったそのとき
哀しさよりもなにより
愛しさが沸きあがる
そのちぐはぐな心を
抱きしめてひとり眠る
124
幸せであれ、と
願える立場ではないことを知りながら
けれど
幸せであるようにと
遠くから
静かに祈る
それがたとえ欺瞞であろうとも
そこにある思いは心は
真実に違いはないのだから
どうか
みなが幸せであるように
ただ、ひとり静かに祈る
125
触れ合いなだめることではじまるものを
そのあたたかな心をわすれないで
遠くはなれていると感じたとしても
決してそれは事実ではなく
貴方の心の側にそれはあるのだから
そこにあるつながりを
その暖かな絆を
どうぞわすれないでいてください
RELATIONSHIP
126
朝の
目覚めの
心地よさの
そのあまりに
きがつけば
寝坊ぎりぎり
そんな朝
127
風のその冷たさに
秋から冬への移り変わりを知り
いつしかそれだけ時が流れたと
いまさらのように思い知る
寒さがじわりと骨にしみた
128
愛とか恋とか
好きとか嫌いとか
ほんとうはそんなこと
どうでもいいものでしかない
本当にひつようなものは
すでに手のなかにあるのだから
129
夕暮れの
二層に染まる空の
その朱の色に
じわりと胸に広がる
懐かしさと哀しさは
人の心の奥深くに
静かに眠る原始の懐古
だからきっと
ふいに涙がこぼれるのです
130
この両のてのひらを
いっぱいにひろげて
ひらひらと舞い落ちる
その幸せの欠片を
必死になって掴もうとするよりも
その掌の上に
すでにそっとのっている
小さな小さな欠片を
ぎゅっと優しく握り締めて
暖めることのほうがきっと
何よりも得がたいものだと
ひとり思う