12
111
そっと広げた掌を
じっとみつめていたならば
小さな手が そっと
その上に重なって
目をあげれば 幼子の
照れたような微笑みに
つられるままに緩む笑みの
その幸せをしみじみと想う
112
昼下がりの
あたたかな光の
そのなかで
おおきくのびをした
その心地よさは
その瞬間の特別
113
ひともじひともじを
連ね重ねて
綴りゆく言葉は
ささやかだけれど
何よりも愛しい
114
語る文字は
語る言葉は
ただひたすらに
外に向かって
私の中から発される
静かなる激情
115
ふわりとふとんをやわらかく
そっとかけてとんとんと
背中をやさしくたたいては
そっと歌うは子守唄
どうぞゆっくりおやすみなさい
116
朝の目覚めと
日の光と
風と
心地よさの中で
大きく伸びをした
117
かぼちゃとさつまいも
ふたつならべて
じっとながめる
さて、なにをつくろう?
うかぶのは
こどものよろこぶかおばかり
118
掌を
そっとひろげて
みつめたさき
ひらひらと
まい落ちる紅葉を
そっと握り締める
119
愛してると
言葉にできないから
せめて
強く強く抱きしめる
触れた場所から
想いよ伝われと
ただひたすらに
願いながら
120
寂しい、と
言葉にしてしまうと
どこまでも深い闇が
この身に迫る
恐怖とせつなさと
涙が
温もりを求めることは
罪でしょうか