第一話 悪魔の力
「もうこんな時間か」
針が指す時刻は21時
夜勤の魔道具工場で生計を立てている影山は
22時からあるバイトに遅れないように準備を進めていた。
バイト先は影山が暮らしているアパートの10分ほどの近場だ
余裕をもって準備をしていれば遅れることはない。
影山は準備をしながらつぶやく
「”魔力”で稼ぐよりは永遠と魔道具のパーツを付ける刑務作業をしていたほうが
才能のないものは稼げる。」
それがこの世界の摂理。
”魔力” とは生まれた時 一人一つの”固有能力”を習得する。
”悪魔の力” 略して魔力だ。
そしてその魔力は”固有”つまり世界に唯一無二だ。
他に同じ魔力を持っている者はいない。
人生に深くかかわってくる。
影山は ”物を定位置に戻したり物を指定した場所に持っていく能力”
を固有魔力として持っている。
影山の兄は”あやつり人形を作成、操作する能力”を持っていて
名門の魔力学校に入学。
しかし何もできない影山の能力は無能として魔力学校にも入学できず、
同じような無能が集まるゴミ貯め首都外に飛ばされ、
ベルトコンベアから流れてくる部品を取り付ける簡単な作業をすることで
生計を立てている。
優秀な兄がいるから元から生まれていない存在として家を追い出された。
親からの仕送りなどはない。
このような状況でも影山は何も感じていない。
怒り、嫉妬、焦り。
影山は生き抜くことも死ぬことも変わらぬものだと思っている。
それほど過酷な環境で生活しているからだ。
準備が終わり、生ごみを持ち、外に出る。
アパートの階段を下りながらポケットから煙草の箱を出し、
一本、取り出す。
ライターで火をつける。
魔道具工場から出ている煙が、草の煙と絡み合う。
生ごみを溢れ出した青いゴミ分別の箱らしきものに置く。
魔力が使えない者どもが集まる首都外にはごみ収集の業者はめったに来ない。
一か月に一回来たらいいほうだ。
この世界では優秀な人材と無能がわかりやすく首都内と首都外で鎖国されている、
まるで優秀な魔力を持っていないものは人間じゃないかのように。
影山の右側から「ドシャ」という鈍い音が聞こえる
右を向くとそこには人の生首が落ちていた。
続く
読んでいただきありがとうございます。なるべく一日おきに更新するように書きますので続きを読んでいただけると嬉しいです。




