【Epi3】タダヒトリのイルミネーション
――当日
夕方5時。そんな時間なのに充分暗い。茂華町は自然あふれる田舎だ。山々のせいで日照時間も短い。
「…暗いなぁ」
にしても、優月は溜息を吐く。
「人が多いな」
その声にはちょっぴり呆れが混じっていた。子供が多過ぎて、旧友に会わないか心配になる。
点火は5時30分だという。それまで優月は屋台に並んで時間を潰していた。
ぴんぽろーん♪
「?」
突如、メールの通知音が鳴り響いた。優月はスマホを取り出した。
「…鳳月さん?」
その相手は珍しくゆなだ。ゆなは滅多に連絡を寄越さない。だがこうなった理由に優月は顔をしかめた。
(…またイジりか)
ゆなは非常に性格が悪い。
《ぼっちでイルミ楽しんでる〜?》
「そらきた」
予想通りの文面で逆に安心した。定期演奏会前もずっと煽られてきたので、既に優月は慣れていた。
「…ぼっちで悪かったな、っと」
優月は不遜な顔をしながらも返信した。
今日1人な理由。それは点火祭に行こうとする友達がいなかったからだ。優月は押しが本当に苦手である。故に『行く?』とだけしか言わなかった。
「…はぁ。みんな休みたいよな」
本当は25日に来る友達が多いことを、優月はまだ知らない。
フライドポテトとチキンナゲット詰めを買った優月は、闇に佇む木々たちを見つめる。よく見ると至る所に小さな電球が取り付けられている。
「んー、こっくらつくんら…」
優月は感心したように頷く。しかし言葉を返してくれる相手はいない。咀嚼しながら孤独は寂しいな、と思った。
その時だった。
「…!?」
電球に眩い光が灯る。赤と緑、桃と黄。様々な光が真冬の闇夜を灯した。寂しげな木々たちは一瞬で光り輝くイルミネーションと変貌した。
「…やば、綺麗すぎ」
しかも公園には人工的なイルミネーションも灯っている。電気代いくら掛かるんだろう?ドラム何台分かな?と思いながら歩き出した。
ここら辺は人がいない。
優月は少しばかり悲しかったが、それはそれで人生の思い出だな、と上向き思考で光を見つめた。
「…んあ?」
その時だった。
「あ、いた」
可愛らしい服に身を包んだ少女。髪をひとつに結び上げた彼女はこちらを一点に見る。
「優月先輩?」
その声で優月は確信した。
(本当に1人だったんだ…)
古叢井瑠璃。彼女はただ1人孤独そうだった。
しかし何故か…それは可愛らしく見えた――。




