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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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第5章 ケプラン商業国④

チョコレートショップの3軒目はテイクアウト専門店で宝くじ売り場くらいの店舗だったが行列がすごい!

窓口横で注文を聞いていると【全種類買い】する人がほとんどで、それも5~10箱の大人買いだ。1箱7つ入りで大銅貨3枚するのに、それを5ヶも10ヶも俺ら3人とも目が点に口をパカッと開けていたら、ナイスミドルがトリュフを口に入れてくれた。


「懐かしいね、その学生服。先生とはぐれたなら馬車乗り場まで連れて行ってあげよう。おいで」


藍色に金の商会名が入った馬車に載らせて貰ったら中には美青年が書類を片付けていて、俺達を見てナイスミドルが買ってきたばかりのショコラを開けると一つづつ俺達の手に乗せた。

 そしてナイスミドルとショコラを奪い合いながら食べている。

ティムは甘いのが好きだから、ブルーベリー入りのミルクショコラを口に押し込んであげたら、チェンバーが俺の口に入れようとしたので、口を手で覆う。


「俺、食べ過ぎでもう入らないよ。チェンバー」


するとショコラ争奪戦を繰り広げてたナイスミドルと美青年がチェンバーをジィッと見た。


「君たちチアーズクラブかい?!」


「あ、はい!そうです!ボンボンショコラを6粒も貰いありがとうございます。私はチェンバー=カートン。チアーズクラブの代表を務めています。貴方のご親切に感謝を」


「おおお!神は私たちを見捨てなかった!お願いします!どうか、私の店においでになってくれませんか?!私はリチャード=ヒューズ。ヒューズ商会会頭で菓子職人をしてます。昨夜商業ギルドから通達があったのですが、ショコラのレシピをいくつか公開して下さるとか!お願いします!ヒューズ商会を救って下さい!」


チェンバーとティムが俺を見る。


「1種類につき、大金貨1枚のレシピ代をいただきますが、よろしいですか?」


「白金貨1枚までなら幾らでも教えて下さい!」


「じゃ、先生に連絡しなきゃ。僕が話しとくから2人は泊まらせてもらいなよ!どうせ、明日も工場見学だしね」


「いえ!私が先生方に説明いたします!」


リチャードさんは頑固だった。美青年はピオさんといい、スーシェフらしい。

 クーベルチュールを白金貨1枚分買い付けたはいいが、まず、何をどうしたらいいのかがサッパリ解らない。

 しかし、他の菓子店と同じようにクーベルチュールを割った物を店舗に出すのは天才菓子職人ピオさんが許さなかった。

 仕方なく本家本元のショコラを食べて考えようとしていた所だったらしい。そこに俺達カモがネギ背負って現れた←今ココ


リチャードさんの説得にはグランデール先生は応じなかった。

 いきなり現れた胡散臭い紳士に生徒を1日貸せと言われても承諾出来ないだろう。


「では、当商会の経営する宿でお泊まりいただき、お食事もサービス致しますから皆さんでご利用なさって下さい」


宿舎は中の下のベッドに下の下の食事、クラスメイト達が俺達を売り払った。


「先生!ホテル!食事も!タダだよ?!」


これにはグランデール先生もよろめいたらしい。そこにチェンバーの後押し。


「先生、チアーズクラブの活動の一環なんです。どうか一日の猶予を与えてくれませんか?」


「…解りました。レポートを後で書いて貰います。明後日の朝7:00には、ホテル前に集合して下さい。約束ですよ?チェンバーくん」


「ありがとうございます。グランデール先生」


ティムの手を掴み、ヒューズ商会の馬車に押し込む。ティムがニコニコ笑顔になる。


「僕も行っていいの?」


「緑休みにさんざんクーベルチュール扱っただろ?扱き使ってやる!」


「わあ、楽しみ~」


「緑休みは何処行ってたの?」


「「「サイヴァンのお菓子屋さんでアルバイトしてたんです。ナナ様と」」」


リチャードさんとチェンバーが乗り込む。

ピオさんが盛り上がる。


「ナナ様?!お目にかかりたい!私、あの人の作るお菓子大好きです!なんて、お菓子屋さんでナナ様は働いてるの?!」


「パティスリー・クロワッサンですが、レシピ教えただけで、今はマーヤに行ってます」


「カカオ豆の仕入れ?」


「いえ、コーヒーです。私たちが建ててる工場の視察に行ってもらってます」


「それはマーヤが貧しいから?」


リチャードさんの質問に3人で頷く。


「そうですか。君たちチアーズクラブは気高い志を持つ仲間なんだね」


「ここが店だよ。どうだい?お眼鏡に適ったかな?」


チョコレートショップ(元銀行)と同じくらい大きな菓子店。アメ細工が得意らしく、木の棒の先に蝶々やリボン、花などがいろんな色と形で作られている。少なくはない客が訪れる今までの菓子店で一番工夫してる店だ。


「はい!良いお店です!」


ただ、買い物客の年齢層が高い。

店の前で降ろされて玄関から店に入ると皆、常連さんらしい。

 「大将」「リチャード」と皆家族扱いだ。

ピオさんと俺達は先に2階の厨房に行き、手洗いうがいして、頭を三角巾で覆うと、エプロンを借りて20人くらいいる菓子職人さん達にご挨拶。


「初めまして。チアーズクラブの代表のチェンバー=カートンです。右がナナ様の弟子のロギ=ウェルバーと左が料理上手なティム=ガランです。私たち3人でチョコレート菓子を教えます。よろしくお願いします」


ざわつく菓子職人さん達にピオさんが喝を入れる。


「今から明日店頭に出すチョコレート菓子を作る!この3人はクーベルチュールの製造者だからチョコレート菓子には詳しい」


「アーーーー?!」


しまったぁあああ!


「何?!どうしたの?ロギ!」


「ショコラ、溶けやすいから、ショーケースに入れて少し冷やさないと!」


「ああ、この国も暑いからね。じゃ、溶けない御菓子を5つと、ボンボンショコラを5種類教えてくれる?」


ま、いいか。この人達になら。


「倉庫の在庫見て考える。ただし、ナナ様から教わった普通の御菓子を誰かに教えちゃダメだからね?ピオさん」


「約束する!」


案内された倉庫の中はチョコレートの匂いでいっぱいだった。砂糖が何種類かあるくらいでこれじゃ何にも作れない。

 そういうと俺を引きづってまた、馬車に乗り市場へ。

 小麦粉、バター、ミルク、生クリーム、クリームチーズ、卵、ふくらし粉にレモンに苺にブルーベリーにココアをたくさん。ハチミツも買っていいか聞いたらピオさんは財布の中身を見て、「ちょっとなら」と言った。ひと瓶の半分買ったら卒倒しそうな顔色になっていた。

 お金が足りなかったので俺が払った。


◆○◆○◆


市場へ買い物に行ってる間にティムとチェンバーが賄いを作って食べさせていた。

ナイスフォロー!2人ともさすがだな。

 俺とピオさんがシチューを食べている間にクーベルチュールを刻んでくれるみたいだ。

 ピオさんに食べながら説明するとどうも溶かそうとしたことがあったらしい。

 こんなに細かく切るとか思ってなかったと呆然としていた。

 温めた生クリームでガナッシュを作ったら、一心不乱に皆さん手元と道具を見てるので帆布製の絞り出し袋と口金を10個づつ差し上げた。さすがにふるいはあったので、トリュフの模様を付ける時、大活躍した。

 ココアで覆うトリュフより、原価が安いのでハリネズミ型にするようだ。

チョコチップマフィンの型も2つあげた。どこかで作って貰えば良いし、ココア生地バージョンと、普通の生地バージョンを作ってあげたらリチャードさんに抱きしめられた。

 おお、厚い胸板!マッチョだぜ!

パイ生地を作る。折って冷やしてを繰り返す。

スポンジケーキの作り方、デコり方。苺のショートケーキは試食と言う名の暴力によりすぐ消えてなくなった。

 食べられなかったティムが唸っていた。

アイスボックスクッキーの作り方、デコり方。皆さん細かい仕事が得意だから、市松模様だろうが、渦巻き模様だろうが、ドンと来いだった。


「ココア生地だけのクッキーに刻んでナッツを混ぜて焼いてもおいしいです。普通の生地のクッキーの砂糖を良く擦って粉状にしたものとレモンの皮を少し混ぜて棒状に成型して外側にグラニュー糖を付けた物をサブレ・ディアマンテと言います。これもホロホロ崩れておいしいし、さわやかな後味で見た目も華やかだし、作って見て下さい。焼くときの温度は少し低めで、焼き色を付けないように気をつけて焼きましょう」


「はい!作ってみたいです!先生!」


「えーっと、パイ生地あと1回折ったら今日は寝ましょう。さすがに明日に差し支えるのでは?」


「パイって、そんなに美味いんですか?」


「食べさせてあげるって言われたらついて行くくらいおいしいです!」


ティムがうんうん頷く。チェンバーはずっとメモを取ってる。


本日3回目のパイ生地を折って氷室に入れてやっと、お風呂に入れた!

ゲストルームに案内されて大きなベッドに3人で入るとメイドさんに笑われた。

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