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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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第5章 ケプラン商業国②

やっと入国出来たケプラン商業国は何層にも岩を積んだ土台の上に建つ都市で、エレベーターで街に運ばれた。街の中は清潔でゴミも汚物も落ちてない。

 それにスラムが無い!驚いた。

建物はみな白壁と黒柱で統一されていて屋根瓦が、カラフルで可愛い!ロマンチック街道沿いの店舗みたいだ。

 幌馬車に載せられた俺達は、中心街のカルシー街の石造りの重厚な街並みを通り過ぎ、工房地区を通り抜け、工場地区に入った。


「うわー、大きな工場ばっかだよ!ロギ、チェンバー」


「チェンバー、イヤな予感がする」


「奇遇だな、ロギ、私もだ」


中でも一番大きな工場についた、俺達3人は嗅ぎ憶えのある香ばしい甘い香りに顔を引き攣らせるのだった。

チョコレート工場の看板を見て無言になり、先生達に確認を取る。


「先生、まさか、ここじゃないでしょうね?」


「そうよ。お菓子作り見学、試食ツアー何だからいっぱい食べなさい。御領主様からの特別な許可が出たんだからお行儀良くね」


何で守秘義務の契約があるのか、わかっているのか?!トビアス様のバカ!

子供は割りと良く見てるし、教師達は更に怪しい。

 俺達3人はハリネズミになった気分で案内役の工場長に付いて工場の中に入った。

 クーベルチュールを作る課程はさすがに見せないらしいが、何とアーモンドチョコレートを作る体験実習を用意していた。

 これには皆大喜び!

俺達3人は作り方の指導に回って口から飛び出しそうになる、「何で?!」をこらえた。

 工場長が俺達3人を手招きする。

工場の応接室はあまり飾り気がなかったが、ココアをサーヴされて素直に喜ぶ。


「実はですね、アーモンドチョコレートの作り方だけでも流布しようという計画が立ち上がってまして、子供でも作れるものかと、今日試して見たのです。お気を悪くさせたでしょう。それというのも、クーベルチュールの売り上げが半年間で緩やかに下がって来てまして理由を聞いたら【そのまま売る以外に方法が無い】と口を揃えておっしゃるのです。このままでは共倒れです!お力を貸して下さい!」


「……解りました。でも、教えるのにレシピ代をいただきます。大金貨1枚くらいは当然です。ガトーショコラだけはレシピの開示をしないで下さい。あとチョコチップマフィンは白金貨1枚はもらって下さい!」


「かしこまりました!ただちにそのように各菓子工房へ通達します!」


俺達3人は他のクラスメイト達がいろんなチョコレート菓子の試食ツアーをしてる間にクーベルチュールの製造工程を工場長に案内してもらった。

 機械の大きさが全然違う。

焙煎の温度と時間をインプットしたら、勝手にやってくれる巨大な焙煎機。

大人数人が入って行けそうな粉砕機。

混ぜる機械はブラック、ビター、ミルクチョコレートで別れていて砂糖やミルクの投入は手作業だ。

板状にする作業も手作業だった。大変そう。

工場内は焙煎と粉砕機の音がうるさいので再び応接室に戻ってどのレシピを幾らで売るか吟味した。


「チョコレートショップの売り上げのランキングはどんな感じですか?

アールディルでは、チョコチップマフィンが一日5000個程売れてます」


「何故マフィンが?……だから白金貨1枚とおっしゃったのですか。ケプランでは、子供たちには人気がありますが、売れ筋商品という程では、ありません。どちらかというと売れない商品です」


「やはり、ガトーショコラが売れ筋商品ですか?」


「トリュフや生チョコ、オランジェット、ウイスキーボンボンなどの正統派が1日1万個以上売れてます。ガトーショコラとザッハトルテはお土産にたくさん買われる方が多いですが、ボンボンショコラの人気には勝てませんね」


「じゃあ、とりあえずアーモンドチョコレートのレシピを売って様子を見てから、他のレシピを開示して行くような、感じでやる方が良いかな?チェンバー」


「初めて大量購入なさる方にアーモンドチョコレートのレシピは無料で付けたらいいと思う。それで満足いく方は、そのレシピを応用していろいろ作るだろうし満足出来なかった方からお金を頂いてレシピを渡せばいいけど、何種類かにしないと、ね」


「なるほど。チェンバー様のご心配もわかります。では、トリュフ、生チョコは、開示をお願いします!工場内で作ってるだけではとても手が足りません!職人達も必死ですが何せ5ヶ国以上に販売してるので国内だけでも、作って貰いたいのです!」


「じゃあ、良さそうなお値段で売ってください。チョコチップマフィンは他のお菓子の作り方もばれるから止めとこうかな」


「何故マフィンがアールディルで売れ筋商品何ですか?」


「お貴族様の朝食だそうです」


「あんなに甘いものを毎日?!体を悪くしそうですなぁ……確かにマフィンはいろんなお菓子に派生出来ますから開示は控えた方がよろしいかと。レシピを売った利益は、5割チアーズクラブに還元しますが、その内1割が商業ギルドに搾取されますので、実質4割が貴方方のものです。本当は全部差し上げたいのですが、そうすると税金が物凄い額になるのです。分けた私たちも4割取られます。0,5割は交渉人に支払うお金で0,5割は経費としていただきます」


「俺達は1割でいいので、残りの3割をマーヤへの食糧支援にお願いします。あと、服とか靴とかも買ってあげて下さい!」


すると工場長は涙で目を潤ませて「他には?」と聞いた。


「マーヤの人が菓子工場の方には全然いなかったけど、どうしてですか?マーヤの人を雇って仕事をさせるって、グレンマイヤー公爵から聞いたのに契約違反じゃないですか?」


ティムが怒ってたのは、そこだったらしい。

 工場長は苦笑して説明してくれた。


「カカオ豆を取り出す工程では働いてもらってるよ。……信じて貰うしか無いんだけど細かい指示が伝わらないんだ。国民性というか、のんびりしてて、全ての事に大雑把だから菓子作りなんて繊細な作業は出来ないし、守秘義務の契約違反を僅かのお金で平気でするんだよ。それで塩の柱になってね、『ケプランで働いたら塩の柱になる』って噂がマーヤ中に広まって今に至るんだ」


「そうだね。あの大雑把さは普通じゃないよね。わかります!説明ありがとうございます」


「君たちはマーヤに行った事あるの?」


ティムよ。口を滑らせたな!

チェンバーがにこやかにウソをつく。


「リチルにマーヤからの移民が来ていてその時に触れ合う機会があったのですが、仕事が粗くて一度言うくらいじゃわかってくれ無いんです。なんで、そうするか、どうしてそうしなきゃならないか、子供に教えるみたいに教えてようやく半人前です。頭の出来が悪いとかじゃなくて未知の物だから、サッパリ解らないだけなんです」


やっぱりチェンバーって頭良い。説明の仕方を心得てる。


「ソレがもう少し早くわかってれば、何とかしようもあったのに、いまでは他国者を見るだけで隠れてしまうようになってね。困ってるんだ」


「今、現地でチョコレート工場を作ってます。そこで働けば理解が追い付くかと」


「お金がたくさんいるから寄付なんかしてる場合じゃないよ!3割をマーヤのチョコレート工場の為に使いなさい!それはきっとマーヤの人達の為になる!頑張りなさい」


俺達3人はこの工場長さんの事がすっかり好きになっていた。

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