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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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ビストロ【ナナ】開店(後始末編)

無事、例の香草茶を飲んで【ナナ】に戻った俺は全部まるっと自分の秘密を話した。皆がア然としていた。


「ま、いろいろと考えるだろうけど、今晩を乗り切ろう!」


「待て待て待て!ウェルバー男爵領は、そんなにやばいのか!?」


「俺が稼がないと領民全員奴隷かな?」


巻き毛さんはどうしようとか呟いてるがどうしようも無いのだ!


「あ、後で話がある」


「了解!じゃ、張り切ってやろうぜ!」


しかし、コックさんズとチビ共の俺に対する態度に変わりはなかった。……というか、尊敬されてる?

皆がキラキラした目で俺を見つめている。


1時間経たない内に厨房は戦場になり終業を迎える頃には屍が7つ転がっていた。

賄いのジャガイモのガレットとラタトゥイユ、チーズフォンデュで余したバケットを思い切り食べたら、7人全員生き返った。

話があるという巻き毛さんは賄いを食べたら出かけてしまった。む?秘密漏洩の予感!

 でも、仕方ない。何で3日持たなかったんだろう?

明日の仕込みを一人でしながら考える。

相談しようにもガスパールがいない。

パイ生地を折り畳みながら更に考える。


「あ!休んでないからか?!」


裏口が勢いよく開いた。


「貴方の下僕を連れて参りました!使い倒して下さいね!」


「おう!巻き毛さん!話ってそれ?」


巻き毛さんはコックさん5人を連れて来てくれました。今なら頬にキスできる!


「白の月に貴方の義兄となるレオナルド=サロンロールです!絶対、こけるなよ!!」


「あぁね。わかった!努力する!」


一蓮托生ってワケね!


「他のコックは?」


「俺、遅出だから、早出して貰うんだ」


レオは眉間に深いシワを作って連れて来た5人を突き出した。


「手伝ってやれ!勉強になる!」


皆さん体が頑丈そうだ。中でも中年男性のコックさんが名乗った。


「ソウルだ。よろしく頼む!」


「ナナです。どうぞよろしくお願いします。ちょっと作業終わらせますからお待ち下さい」


麺棒で伸ばしてチョイと折り畳み、何回折りたたんだか刻み込むと氷室に持って行く。

 明日はハンバーグを切らさない様に今からバットがある限り仕込んで置く。

 そしてミンチに使われた5人の可哀想なコックさんズにはちゃ~んとご褒美にハンバーグのレシピと試食をさせた。


「これ一つで店が出せる!」


「出していいよ。作るの疲れるから分散最高!」


そう俺が言うと見る間にやる気が静まった。


「風呂入る?」


「「「「「あるのか?!」」」」」


「一人用だけどな。とりあえず俺が入る!」


結果、皆さん入って嬉しそうにベッドで寝た。それが朝7:00の事だった。


なのに、悪夢はいつも足早にやって来る。


ガスパールとカナの2人掛かりで起こされたのは7:30になったかどうかだった。

レオが連れて来たコックさんズもベッドから上体を起こしてこちらを伺っている。


「パンが無いの!!どうする!?」


マ、ジ、か?紗がかかった頭の中で計算する。


「3つ子にパン焼かせて!惣菜は俺が作る!ソウルさんたち起きられたら手伝って!後で交代で仮眠取らせるから」


5人はやる気だ。部屋着からコックコートに着替えると走って厨房まで降りた。

そして横並びすると胸に左手を当て頭を下げとびきり元気に叫んだ。


「「「「「よろしくお願いします!」」」」」


ヨールが片手を上げ挨拶を返す。


「こちらこそ、よろしくッス!俺がスーシェフのヨールっす。何でも聞いて下さい」


ヨールはハンバーグフェスに一人突入したらしく昨日は無かった鉄板でハンバーグを20個程度焼いている。

アレンはつけ合わせのフライドポテトを必至で揚げている。

三つ子は1からパンを作っているから戦場だ。


「そんじゃ、ソウルさん達、コロッケから作るんで付いてきて下さいね」


訳:ついてこなかったら捨てていく。

仕事は楽なものなど無い!付いて参れ!この世の地獄を見せてくれるわ!


「ごめーん!ナナ様、一人か二人貸してッス!」


「トロム行って来ます!」


「ランディ行きます!」


「チビ共、ジャガイモたくさん茹でろ!」


「「「「「「「はーい!」」」」」」」


これくらいならするようになった。

 ソウルさん達からしたら驚愕の出来事らしい。


「じゃ、コロッケの下ごしらえは任せてトンカツ作りましょうか」


オークのロース肉を氷室から次々出すとスライスし始めたので、ソテーをするのかと思っている3人。昨日焼いたカンパーニュを下ろし金で摺り下ろしたら「え?」「ハア!?」とか言ってる。ふふふ、面白い。

あと一人の若者は俺を真っ直ぐ見て言った。


「ジルバです!やらせて下さい」


「はい、どうぞ」


ソウルさん達の悔しそうな顔!


「味付けは塩コショウを振りますが、まだ、初めてなので、分量とやり方を見てて下さい」


ジルバはパンを摺り下ろしながら見学してる。探求心旺盛。

筋を包丁を入れて、切るのは2人もやった。

アーサーに小麦粉を挽いてもらって衣をつける。


「な?!つなぎに卵を!!なんと贅沢な!」


ちなみにカツサンドは人気商品でハンバーグに並ぶ売り上げを上げてます。3切れ1包みで大銅貨1枚と銅貨5枚。オークのロースはお安い肉なので、結構ぼったくりです。

それに美味しい揚げ物が無かったので革命らしい。

コロッケにも溶き卵使ってたらもったいないってマジ泣きしたソウルさん。

食べたら唸ってた。

 唐揚げや、ポテトサラダ、茹で玉子のフィリング、ソーセージの作り方教えたらずっと名乗らない人がニヤリと笑ってた。ちょっと嫌な感じ。ガスパールに言いつけた。

後でレオが連れて来た5人とは、魔法の契約書を交わしたらしい。魂を抜かれたような顔をしていた。コワッ!


ガスパールは昨夜、例の香草茶の取引に行ってたらしい。何かの結晶を見せられた。塩?藻塩みたいな香りがする。


「これを飲むと20年は大人のままです」


ひょい、パクッ


「あああ…ロギ様がぁああ!」


「ガスパール、ありがとう大好きだよ」


「しかし、学校に行かれませんと、ウェルバー男爵家を継げません!」


「その時は通うよ」


「約束ですよ?」


「ん!わかってるって!」


脳筋の親父じゃ領民全員奴隷に成りかねないし、山のような借金抱えるハメにはなりたくない。

 頑張れ俺!


ハンカチで涙を拭いてるガスパールを見た。

 いつまでも生きてないよなぁ?


「ガスパール……長生きしてくれ」


「私は亜人ですから貴方が死ぬまでお仕えできますよ?」


……俺の感傷を返せ!

そうか、でも嬉しい!ガスパールをギュッと抱きしめたらガスパールが優しく頭を撫でてくれた。

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