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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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店の内装

マズルカ商会の事務所に戻ると親父もガスパールも居なくなってた。

護衛4人を連れてバール会長は店を見に行こうと俺を誘った。


「考え事ばかりしてると頭が痛いからね。たまには実況見分だよ」


「ありがとうございます」


マズルカ商会の馬車に乗って現場に行くまでの間店の内装工事をどうしてるのかを簡単に説明してくれた。


「大体、内装は開店する月の色をメインカラーにして仕立てるし、君は三日月が家名になってるから店の意匠も全部それだ。看板は作り直してるから、少し開店が遅れるが、後は家具類の搬入だけだな」


「具体的には何日に開店するんですか?」


「……あと、10日あればなんとかなる!」


「メニュー決めなきゃなりませんね」


「カイルが監修したから後でチェックしてくれないか?」


「はい!」


「着いたよ。ここだ」


大通りのど真ん中にあるちょっと古ぼけた5階建ての石と木組みで出来たビル。

可愛くってちょっとダサい。

中世ヨーロッパのロマンチック街道のホテルみたい。


「5階建てですね?」


「3~5階は従業員寮だ。君の部屋もある。カイルに聞いたらコック達は朝早くから夜遅くまで働くから家に帰るのも億劫になるのだろう?寮が上にあればよかろう」


「いろいろ考えてくださってありがとうございます。助かります!」


「なぁに、私は家具類がよく売れて嬉しいのさ。儲けさせてもらってるよ!ハハハ」


平民のホールは大通りから入れる扉を開いて左手。木のぬくもりにあふれていた。4人掛けのアイボリーのテーブルと椅子には青系のキルトのテーブルクロスやクッションがさりげなく置かれていて年頃の女の子の部屋みたいだった。


「へぇ、見事な物ですね」


「スーシャ様がセリス様と作った物もありますよ」


ああ、だから、ナンパされるのに街に出掛けるのか。今度お小遣いをあげよう。


右手のホールは青系の豪奢な絨毯が敷いてあるだけで、家具類がなんにもなかった。


「高級家具は特注品になるんだよ。時間がかかるね。大体1階は全部で80席かな?

拡張したかったら空間魔法師に頼めば良いけどお金かかるよ。2階はまだなんにもない。ランプさえ付けてないから暗いし、ね」


でも、気になるから見に行った!

歩幅で、大体の広さを測ると階段分だけ狭いから60席は余裕で確保出来るだろう。

1階2階合わせて140席。

そのうち60席は手の込んだ料理。

 軽く地獄かもしれない。


……などと思っていた時間がありました。

 マズルカ商会に帰ってカイルシェフ監修のメニュー表をみるとファーストフードが平民クラスで、プレーンなハンバーグやオムライスなどの洋食が1階の貴族や金持ちクラスで、2階のリッチな客にはサラダから始まってデザートで終わるフルコース。


「でも、フルコースなんて、家で食べてんじゃないのか?」


マズルカ商会のコックさんズは左右に首を振る。


「言っちゃあ何ですけど味付いてないし」


「見た目もパテみたいな奴と丸焼きメニューだし」


「スープが以前の物、俺ら飲めねーし」


「デザート食べるだけでもいいから行きたいってウチの商会に問い合わせが山のように送られて来てます!」


「ああ、そう。平民クラスに和食を食べてもらったらどうかな?」


「和食とは?」


「唐揚げとか」


「洋食にしやした!すんません!」


「トンカツとか、エビフライも?」


「へぇ!」


んんん、あ、惣菜パンならよくない?菓子パンもいいよね!


作ってみると試食したコックさんズがこちら式ジャンケンを始めた。魔法で火と水で実力勝負だ。

勝った方がパン職人になるらしく石壁に煤が付く勢いだ。

 見事勝ち抜けたベンはカイルシェフのお声がけで○○の肉の丸焼き係に戻った。


俺を支えてくれるコックさんズは、口が悪いヨール、パン職人のチェーンとアイン、ライズの三つ子。デザート担当のショルツ。以上。


「少なくないっすか?」


「野菜の下処理と洗い物は孤児にやらせるから、ちょっと2~3日躾ける」


というわけで、成人間近の孤児から死にそうな孤児までまんべんなく拾ってタウンハウスに帰ったら、もう前庭の屋敷は棟上げまでできていたが、孤児が身を寄せる場所は、2部屋くらいしかないが、我慢してもらうしかない。

ガスパールが迎えてくれた。

24人の孤児達をまず風呂で丸洗いする。

女の子はカナ達が洗ってくれたから助かった。女の子5人はカナ達がゲストルームで預かってくれた。

食事はトウモロコシの芯まで食べる勢いだった。あんまり元気がない子には雑炊を作ってあげたらよく食べた。

ガスパールに1人2着づつ新しい服を買って来てもらった。

皆、ここに来てやっと怯え始めた。


「はい、明日の朝から仕事をしてもらいます。野菜を洗ったり、皮を剥いたり、お皿を洗ったり拭いたりするお仕事です。お給金はそんなにないけど1日に大銅貨3枚あげます。出来そうだと思ったら手を上げて」

皆、手を上げた。


「じゃ、もう今日は寝ていいよ。狭くてすまない、小さい子や具合の悪い子にベッドは譲ってくれ」


俺は食堂で寝てベーネに翌朝悲鳴を上げられた。

という事でマズルカ商会まで歩いて行って裏口から厨房にお邪魔して、まず手洗いを叩き込む。


「トイレ行ったら手洗い!厨房離れて戻ると手洗い!食べ物は手で触る前に手洗い!頑張れ!」


カイルシェフが一番体が大きい孤児をひょいっと持って行った。パン職人にするらしく一から教えている。

俺は野菜の洗い方と皮の剥き方の指導。


「ジャガイモの芽は必ずえぐり取ること!残ってたらお腹壊すからな。自分たちも食べるんだから、ちゃんとしろよ?」


器用な子は皮むき係に任命した。トニーとスコットとマグ、キールにオンズ。

皿洗いは慎重かつスピーディーな子を。

と、思ってたら調理に持って行かれた。

皿洗いは女の子達が頑張るらしい。

野菜洗いは小さな子達の団体の仕事になった。夕食を食べるまで頑張ったが、何人かの子供達はお腹いっぱいになると寝落ちしてしまった。

泊まらせてもらった。

一日の終わりにはお給金タイム。

皮むきや調理、パン職人になった子達には大銅貨5枚渡したら、仕事が増えたら、昇給するとわかった少年達が燃えていた。

マグと一緒にタウンハウスに帰るとガスパールに例の香草茶を飲まされた。

ちなみに親父はウェルバー男爵領に帰ったので、心なしか空気がおいしい。

風呂に入って今夜はベッドで寝られた。マグの寝相は多分良い方だろう。


そうやって6日間ブートキャンプを繰り広げていると、惣菜パンの具を挟む仕事に付く女の子も出て来た。

皮むき係は野菜の切り出し係になったし、コックさんズ皆で育てた子供達は、お利口さんになった。

 ただ一つ困るのが、夕食を食べると寝落ちするのだ。野菜を洗ってる奴ら全滅。


「仕方ない。子供だからな!」


こうして、ビストロ【ナナ】の厨房に行きクロワッサンから仕込みを始めた。

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