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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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第2章 閉ざされた神殿②

美と慈愛の女神ベラスティアーナ様の石像におにぎりを供えて手を合わせて祈る。


「朝ごはんの肉が狩れますように!」


狩れたらいいな、くらいじゃ狩れないらしい。


「やっぱ、慈愛の心が必要か。なんだかんだ言って神官様達甘えてるだけだしなぁ。そいつらにも慈愛の心を発揮するのは、難しい。それにチビ達のイジメ問題?何で皆受け入れてんの?」


上空から台風並みの風が吹き付けて来た。見上げるまでもなく、ロック鳥だ。

やばい!目を付けられた!エルフの里のダンジョンで倒すのに3時間近くかかった。

ティムとチェンバーと俺の3人で、だ。

逃げようと木を飛び移りつつ、逃げてみるが、後ろを振り返る。毒のあるかぎ爪がもう後数センチまで迫った時声が聞こえた。


「「「「「ナナ様!伏せて!」」」」」


アルス達の声に木から落ちるように飛び降りると、金の軌跡がロック鳥の心臓を射貫いた。


「すげぇよ!5つ子!あ、あれ?うわああああっ」


ロック鳥が落ちて来て下半身が下敷きになった。

神官様総出で助けてもらった。解体まで手伝ってもらうような大物だったので、ハンバーグを作ってごちそうしたのがお昼。

まだ肉は余ってるので、チャーシューにして、とんこつラーメンの具にした。

麺のお替わり自由にしたら、皆2杯は食べてた。

5つ子は魔力枯渇でダウンしたので明日の朝チャーシュー丼にしてやろうとチャーシューを一塊氷室に入れた。


そして翌朝、美と慈愛の女神ベラスティアーナ様に焼き鳥5本を捧げて助けて下さってありがとうございますと祈っていると、焼き鳥が無くなり皿だけが残された。

 ハハハ、神様肉食べちゃった!

あらゆる意味で衝撃的だった出来事から目をそらしていると5つ子がタックルして来た。


「皆、昨日はありがとう。おいで、ご飯にしよう」


「あのね、お別れなの」

「奇跡を起こしたから特別クラスに帰っていい、って!」

「ナナ様、お父ちゃん達と暮らしてた頃のこと思い出させてくれてありがとう!」

「嫌な思い出じゃなかったよ」

「ナナ様大好き!」


なんて、残酷な現実。

奇跡を起こせるだけで崇拝されたり、起こさなかったからと言って邪険にされる。

 こんなの神殿の在り方じゃない!

でも、子供達の無邪気に喜ぶ様を見てしまったら、笑顔で送り出すしかない。


「……何で泣いてるの?ナナ様」


5人をまとめて抱きしめて涙しながら言う。


「皆と別れるのがさみしいから、少しだけ待って。笑顔でお別れするから」


ダメな俺。ウソもつけない。


その内、特別クラスの神官様が来た。


「行きましょう!奇跡の子らよ」


「「「「「またね~!ナナ様」」」」」


手を振って行ってしまった。

 また、3人になったのかと厨房に行くとジョシュアとユージンと拗ねたツラした5人の子供達。

 ああ、また同じ過ちを繰り返すんだ。神官様達は。


「ようこそ厨房へ。これが、俺からの挨拶だよ」


キャラメルを口に放り込むと何だか嫌な笑い方をした子供達。リーダーらしき、美麗な少年が、胸を張って威張り散らす。


「我こそはアールディル王国に輝く銀の月アリオス=ナブサグレーダー、敬い、諂え!」


「あ~、ハイハイ。そういう設定ね!わかったわかった!俺はナナ。仕事するぞ!」


ジョシュアとユージンが急いで口を手で塞ぎ後ろを向いた。てめぇら、笑ってる場合か!


「な、なにぃ?!」


「ほら、ジャガイモの土を落とせ。水汲んで来て流し台に貯めてその中で洗うんだよ!やれ!」


「何で私がそんな端女はしためみたいなことをしなきゃならん!」


「やってたら、祈り方が変わるかもなあ?」


「アリオス様、あのワラの子達がここで働いて奇跡を起こしたそうです」


「なにぃ?!本当か?!ナナ」


アリオスなんちゃらかんちゃらの耳をギュッと捻って引っ張る。


「イタタタタ!!痛いぞ!ナナ!」


「いいか?アリオス。目上の人には名前の後ろに『様』をつけろ!」


「何で私がそんな事を言わなきゃいけない!離せよ!」


泣くまで耳を捻って離さなかった。

 ジョシュアとユージンは、笑いすぎて涙ぐんでいた。

その後、優しく野菜の洗い方を鼻高々軍団に教えてやってたけど、また神殿のロクでもないルールを持ち出した。


「私たち、ベラスティアーナ神様とお前たちの竃の神では、格が違うのだからな、わかってるだろう?」


ブチ切れた俺はアリオスを押し倒すと馬乗りになり、様子を観に来た神官が羽交い締めして止めるまで、アリオスをビンタし続けた。


鼻高々軍団の鼻は一日目にしてバッキバキに折られた。

2日目からは天敵に見つかった子リスのように震えながら俺の命令を聞いている。

 ちなみに俺が子供達に乱暴しないように見張りのゴリマッチョな神官様が付いた。


「今日は、おやつ作るぞ。作り方覚えたか?ジョシュア、ユージン」


「スコーンなら自信あります!」


「あ~、僕はジャム作ってます!」


「わかった。俺はマフィンを作る。アリオス!」


「は、ハイー!!」


「バターとヨーグルト氷室から持って来い!」


「は、ハイー!!お前たち、バターとヨーグルトだ!」


「てめぇも、だ!アリオス!」


「ハイー!!」


何かと言うと他人に言うことを聞かせようとするアリオスを叱り飛ばすと、慌てて氷室に降りて行った。


砂糖と小麦粉、ふくらし粉を出して計量していると見張りのゴリマッチョな神官様が笑いを堪えてらっしゃる!


「昨日納品されたバターの量だと持ち出し出来ないのでは?」


「いくらなんでも全部は持って来ないでしょう?」


「いや、もう遅いです!持って来てます!」


ジョシュアが焦って手伝いに行くとまた、ジョシュアをバカにした!


「早く来いよ!これだから、気が利かない!竃の神の子らはダメだな!ヒッ?!ご、ごめん!ごめんなさい!失礼しました!お許し下さい!」


俺は笑顔で威圧した。

こちらに顔を向けてないジョシュアは困惑している。


「大丈夫です。慣れてますから!バターはこんなに要らないんで戻して来て下さい!」


必要な分だけ抱えて持って来たジョシュアの目元が潤んでいる。俺はチョコレートボンボンをジョシュアの口に入れた。


「ふわぁ~!何これ!?美味しい!あ、お酒入ってる!苦甘ぁ!!」


ゴリマッチョ神官様が俺を拝んだ。

1個だけ手のひらに載せてあげたら、ジッと見ている。


「それ、溶けますよ?早く食べちゃって下さい。人数分無いんで」


「鉄拳制裁1回見逃す」


賄賂になった。ユージンが羨ましそうに見ている。ユージンのお口にも入れた所でヨーグルトが大瓶に10個届く。


「量ぐらい聞いてから行けば戻しに行く必要が無いだろうに。8個戻して来い!」


するとアリオスが大号泣し始めた。


「私たちが重労働してる間に美味しい物食べてる!うわああああん」


「問題点はそこじゃねぇ!サッサと氷室に返して来たら美味しいご褒美があるかもな!」


するとアリオス達は、行きの何倍もの早さでヨーグルトを片付けて来た。

レーズンチョコレートを一つまみづつ口に入れてやるとまた調子に乗って来た。


「酒のもあるだろ?出せよ!」


目から火が出るほど殴ってやった。


「目上の人は敬えって言ったよな?誰に向かってどんな口聞いてんだ?!」


「うわああああん!痛いっ!助けてクリス先生!!」


クリス神官様寝てるふり。


「え?ど、どういうこと?!何で無視するの!」


「クリス先生は寝てる。つまり、助けは無い」


アリオス失神&お漏らし。

ククッ!いたぶるネタが増えた。


「うわあ~。悪いお顔って、こんな感じなんだね、ユージン」


おい!ジョシュア。見てるヒマがあったらスコーンこねろよ!

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