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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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王都散策

護衛の2人は夕方に来た。

 目が覚めるような真っ赤な短髪に銀のサークレットをした、男性のハーフエルフのカレッドさんと、艶のある濃い紫色の髪と目をしたいささか男性陣には目に毒な美貌の持ち主ビオラさん。

暇つぶしにボンゴレビアンコを作ったら、2人とも5人前づつ食べた。ナスの中華風漬けもご飯と一緒にモリモリ食べたので、呆気に取られてる間におかずが無くなった。

木箱いっぱいのナスの漬け物をどうして一食で空に出来るんだ?

 ペペロンチーノをベーネとリムと一緒に食べた。


あの2人は交代で玄関前に立ってもう1人が居間で仮眠しながら警戒してる感じだ。

まだ、早い時間ならカレッドさんも起きていたので、明日王都を観光したいというと二つ返事で頷いてくれた。


そして、朝。

大量のバケットサンドと紅茶のモーニングは大好評の内に無くなった!

どんな胃してんだよ!


「ナナ様、王宮からの使いが来たらいかがいたしましょう?」


あ、それな!

ベーネに言われて悩んでいると事情を聞いたビオラさんが、口を開く。


「家紋決めたりするのにスゴく時間かかるから、5日は自由にしてて大丈夫よ。いざとなったら連絡方法もあるから、心配しなくていいから、おのぼりさんしてきなさい」


タウンハウスから表参道まで歩き角を曲がったところで15才くらいの子供にぶつかられてよろけるとカレッドさんがその子供を捕まえてつるし上げてる。


「盗ったものを返せば許してやる」


「やだ!もう6日も食べてない!」


薄汚い格好で判らなかったが女の子だった。

さすがに俺がお人好しでも金貨5枚はやれない。


「警邏隊に突き出すぞ?」


「わかった!返す!」


俺の革財布が帰って来た。中味を確認後、女の子は離された。


「なあ!金持ち何だろ!アタイを買ってくれよ!」


ごご、キュ~


「じゃあ、町を案内してくれたら、食べ物をやる」


少女の名はカナというらしい。香ばしい屋台の肉を焼く香りに惹かれ串を10本買いカナに与えたら綺麗な食べ方をする。

 カレッドさんはその間周りに睨みを効かせていた。孤児がたくさんいるのだ。

 1人、メシにありついてるカナを羨ましそうに見ている。

「じゃ、町案内するね、何処行く?」


「服屋、庶民向け」


「こっち」


意外と近かった。

カナを入り口で待たせて店主にカナの服を2日分見繕ってもらうと、魔法カバンに入れて大衆風呂屋へ。

服を渡して入浴料を受け付けで払いカナを風呂に入れる事に成功した。

カレッドさんと今から何処に行こうかと話していると金髪の可愛い女の子が話しかけて来た。ナンパかな?


「アタイだよ!何でわかんないのさ!」


「カナ?!マジか!うちの店で働けそうだな!」


ドロドロしてた髪が綺麗な金髪に、顔や手も綺麗さっぱりすると白くて美少女だった。


「ホントか!働かせてくれよ!身重な母ちゃんと妹養ってんだよ!」


「お母さん達も何にも食べて無いのか?」


「3日間何も食べて無い」


「香辛料を扱うお店があったら行きたい。それからお母さん達の所に行こう」


「アタイ達どうする気だ?」


「家に連れて行く。とりあえずまともなご飯だろ?」


「放り出したりしないか!」


「しないしない」


カレッドさんが微妙な顔をしてる。


「なあ、ナナ様。【こうしんりょう】って何?」


「ああ、異世界の定番で薬屋か?」


「薬屋はポーションしか置いてない」


じゃあ、どこだよ。


「香りのある木の皮とか、香りがある種とか、「わかった。該当する店がある。離れず着いて来い!」ありがとうカレッドさん!」


細い路地を歩いて連れて行かれたのは何と呪い屋だった。

出迎えてくれたのは唐辛子のネックレス。

クローブにクミンシード、ターメリックにガラムマサラ、他にも記憶にある奴は全買いした。

店主もドン引きしてたが売れるのは嬉しいのか、愛想が良かった。

ふう~、銀貨5枚使ったな。

俺は辻馬車に乗せられタウンハウスへ。カレッドさんとカナはカナの家族を連れて来るそうだ。

帰宅したらビオラさんが待ち構えていて、カレーの研究をストップさせられた。

 念のため毒が無いかカレッドさんが調べてくれるらしい。

肉は何があるかと氷室を確認すると、大量のエビがあった。

果物を買いにビオラさんとお出かけ。ついでに魔牛の塊肉を買ったらビオラさんが喜んでいた。

 家に帰るとカレッドさんが香辛料の毒見をしていた。問題なかったらしい。

スパイスをチャチャッとブレンドしてココナッツエビカレーを作った。


「気がしれない!」と言ってた誰かさんもお替わり完食の出来だった。


それから5日間カレーのスパイスの調合の繰り返し。どうも、皆さんフルーツのペーストベースの甘いカレーが好きな模様。

 キーマカレーを甘くしてカレーパンを作ったら、ビオラさんとカレッドさんに終身雇用を考えてくれと言われて嬉しかった。

味覚が甘いのが常なのか、マズルカ商会に3日煮込んだ欧風カレーを持ち込んだら、辛かったらしい。皆さん、涙目だった。中辛でも駄目なんだな。

タウンハウスに残っていたカレーを持ち帰りミルクとジャムで甘くしてカレーうどんにして食べたら、またもやカレッドさんとビオラさんが本採用にしてほしいと駄々っ子になった。


「部屋が無い」


「建てればいいじゃない!カレッド得意よ!家建てるの」


ドラゴン様ごめんなさいm(_ _)m

前庭にここよりデカい屋敷を建てます。

従業員寮を兼ねた孤児院です。

カレッドさんと話すと笑いながら了解してくれた。


「建築費用だが、白金貨1枚もらう!」


それくらいで家が建てれば安いものだ。

ここ最近、王宮にパンを届けるアルバイトをしているから幾らか財布が温かい。

ただ、4日前に作ったクロワッサンが異様に気に入ってるらしく、3日間連続クロワッサンだ。明日は王宮で家紋と家名をもらう手続きがあるので、登城しないといけない。

家紋がハンバーグとかじゃないといいな。明日のパンはカレーパンにして、もう寝る。

ベーネが例の香草茶を持って来た。

一気にグイッと飲んでベッドに横たわるとベッドの中にカナが隠れてた!


「眠いんだよ!出てけ!」


「チッ、つまんねーの」


カナと妹のティンはベーネの弟子になり、行儀作法と掃除、給仕を躾けられています。

二人の母親のカテナは適度な運動をしながらゆっくり過ごす予定。

今は栄養失調気味なので、療養生活を送っている。

3人共に先ずは食え、って感じだが、顔は悪くないので給仕をして貰う予定。

こちらの世界の成人は16才なので、18才のカナと16才のティンにはガツガツ働いて貰おう。

 ベーネがカナを見つけ雷を落としている。


翌日から早速前庭の整地が始まった。

 エルフ達がどんどん集まって来て建築資材もそこここに置いてある。


「カレッドさん!お願いします」


「おお!」


マズルカ商会から出してもらった馬車に乗り王宮に向かうといつもお世話になってる衛兵さんが、貴族登録監査室という部署に案内してくれた。

 むちゃくちゃ小さな部署で10人足らずの事務員達が俺が応接室のソファに座ると目と耳を駆使して一言一句聞いている。

 どんなホラーだよ!


「まずは、準男爵叙爵おめでとうございます」


「ありがとうございます」


「貴方の御家名ですが、【クロワッサン】に決まりました」


何故に?陛下がクロワッサン気に入ったからか!!


「古語で三日月を意味する素敵な言葉。陛下の肝いりでお決まりになりました」


まあ、いいか。アップルパイより違和感ない。


「ありがとうございます。光栄です」


「次に家紋ですが、こちらになります。どうぞ意見があればはっきりおっしゃって下さい」


丸い皿の上で交差するスプーンとフォーク。

シンプルイズベスト!


「とても気に入りました!素敵な家紋ありがとうございます」


「「「「「「「「オオオオ!!!」」」」」」」」


「では、こちらの書類にサインをお願いします。準男爵のミドルネームは【ロウ】になりますのでナナ=ロウ=クロワッサン準男爵が、サインになります」


「親切にありがとうございます」


こうして俺はちょっと成り上がった。

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