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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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酒場【銀のヴァンデ】

 看板はハンスさんが作ってくれた。

お座りしてるワルトを挟み込むように銀のヴァンデと書かれているシンプルな物だったが、俺はめっちゃ好きだ!

 当日の朝、取り付けてもらった。


 昨日の真夜中に到着したエルフの里のお酒は、ビールと何と日本酒だった!あと、試して欲しいとカクテル用のリキュールが数点持ち込まれた。

 日本酒を試したガスパールは、すっきりとした飲み心地が気に入ったようで、ひと樽銀貨1枚で買い上げていたが、ビールは、飲み慣れて無いようで、送り返そうとしたので俺が試飲した。温いから美味しくない。雑味は無いから、冷やしたら美味しくなるかも…


「ガスパール、これを冷やして」


「寒うございますよ?……冷やしますが」


グラスが冷たくなって曇る。


「もう、いいよ」


1口飲むと日本の大手メーカーが売ってるのと遜色ない!淡麗辛口でお酒が初めての人にも飲みやすい。

 ガスパールに進める。1口飲むと良さが分かったらしい。


「こちらは、如何ほどで売ってるのでしょうか?」


「小銀貨8枚に負けておきます。果実酒の事よろしくお願い致します!」


「はい、きっと人気になりますよ」


泊まるよう言ったが、聞かなかったのでサンドイッチをお土産に持たせたら、何か異様に興奮している。


「これからも良いお取引をお願いいたします」


「?こちらこそお願い申し上げます」


夜目が利くドラゴン程大きな魔鳥に乗って夜空に溶けて消えた。

 良い取引が出来たと喜ぶヒマも無く酒樽を魔法カバンに入れてガスパールと店に行く。

 ガスパールは中型のミンサーをマズルカ商会から買って来てくれた!

 そればかりか、パスタマシーンに頼んでいた卓上魔導コンロも12個も仕入れて来てくれた。

開発してた鉄鍋もある。

 今夜16:00から始まる酒場【銀のヴァンデ】は、鍋料理の店なのだ。

 初日は豚骨ミソ、〆にはラーメンで。ごはんと麺、どっちにしようかとヒュー一家と悩んでいたら、エルフ達が口々に「ラーメンだ!」と熱く語り始め、かんすいも持って来てもらえた。

 という訳で朝までに麺打ち。200ばかり様子見で打ってみた。

 すっかり箸が使えるようになったガスパールが、豚骨ミソ鍋をヒュー一家とまるっと食べて一言。


「これは、美味しすぎます!なるほど濃い味付けですが、野菜をたくさん取ることで飲みやすい薄さになります!それに肉の出汁が加わった汁で煮込んだラーメンの美味しさときたら!病み付きです!」


「オーク肉の薄切りとヌシカ鳥のミンチがこんなに入って幾らで売るつもりなんだ?」


ヒューに聞かれて頭を傾げる。


「さあ?幾らだ?ガスパール」


「大銅貨4枚はもらいませんと!何人かで分けるのですから、遠慮なくふんだくってお遣りなさい!」


「やだ!肉はただ何だからもっと安くて良いだろう?それにここは酒場だ。食事にお金がかかると酒が飲めなくなる」


「いけません!他の食事処より安いのに、美味しい。これがどれだけの脅威か、貴方は分かってらっしゃらない!!銀のヴァンデが毛皮になる日を見たいのですか!?」


ワルトが幾ら強くても、人間を襲えないなら、上級の冒険者たちで囲めば、狩るのも出来るだろう。


「……ごめんなさい。肉代を含めて幾らくらいなら食べたいかな?ヒュー」


「そうだな、1人、大銅貨1枚が限度だから、大銅貨3枚だな。執事さんの言い分ももっともだ。でも、領主だけ儲けてたら怨まれる。だから、大銅貨1枚分だけ、引いとけ」


ガスパールは眉間にシワを寄せてうなずく。


「では、大銅貨3枚で。宿泊費は幾らにしましたか?」


「小銅貨5枚で。ただし、ウチには赤級の冒険者たちしか泊めない。あと、小銅貨5枚で1日1回サンドイッチを作って食べさせる」


「赤級?」


「ナナは冒険者の事知らないか?

赤級はなりたての冒険者。一日で小銅貨8枚稼ぐのが精一杯だ。動ける奴だと大銅貨3枚は稼ぐ。そこを乗り越えたら青級に。青級になったら、もう喰うのに困らない。宿は大銅貨3枚からはあるから野営しなくていいだろう。

白⇨黄⇨緑⇨銀の順番で上がって行く。

 今、この領地に滞在してる冒険者たちは、白級が1番多い。冒険者になって、鼻が高くなってる奴らがな。薬草もクソ程生えてるのに、狩りをするのが冒険者で、そんな俺ってかっこいい!的なヤツ。黄級になったらそんな勘違いはいないからな?緑級と銀級は人外。ウェルバー男爵がそうだからな!失礼なことするなよ!」


 あの親父が敬われてる?!

 はいはい、ソレとコレは別。


「おっとう!お客さん入っただ!……でも、何かケガしてて、元気ねぇ。大丈夫だか?」


「私が診ましょう」


「ガスパール、もしもの時にコレ」


俺が作った飲むポーションだ。

 ガスパールは瓶を受け取る前に俺の額を平手打ちして店内にアリーと入った。


「さて、お粥炊いて用意しとこうか。お粥くらい病人には付けるよ」


「お前の懲りないとこ、俺好きになった」


「ハハハ、ありがとう」


それから、大量の鳥のミンチをみじん切りにしたネギとショウガ、塩コショウを混ぜてつくねをひたすら作った。

 次は白菜とオーク肉の薄切りを重ねて切る。ミルフィーユ鍋の良い所は肉だけ食べられない所だと、俺は思っている。ドヤァ!!

後はシメジを入れて長ネギの斜め切りを入れてつくねを盛り付ける。

ハッキリ言う。すごいボリュームだ!2人では食べきれない!ラーメンがあるから。


支度が終わったのが、13:00頃だったが、泊まりに来る赤級冒険者たちが痩せ細ってるのが、見てられなくて鶏粥を腹一杯食べさせたら皆泣いてた。俺も泣きそう…

 飢えてた頃のチビ共を思い出したのだ。

 お米いっぱい買っとこう!


 ワルトに今日は口に咥えられる大きな木の籠を渡して鮭を獲って来て、とお願いした。

いつまで経っても帰って来ないから何かあったのか心配してたら、裏口から人の声が聞こえた。


「領主様!ヴァンデさんが帰って来ましたよ!」


何故に人の声が??

裏口を開けると荷車を引くヴァンデがいた。籠は持ち手が壊れていて荷車に籠から飛び出した鮭がビチビチ跳ねている。大漁である。


「あっしら、漁をしてたんですけど、サッパリだったんでさあ!そしたらヴァンデさんが籠にたくさん鮭を獲って帰ろうとして、この通り持ち手が壊れたんで、おら達の荷車を貸す代わりにそのう~、一人1匹でももらえないかなぁと」


「それはご迷惑をおかけしました!鮭はもちろん要るだけ差し上げます。よろしかったら、お昼ごはんを食べて行って下さい。さあさあ、店の中にどうぞ」


上手いこと実験体が来た。しめしめ。

6人の漁師はまんまと豚骨ミソ鍋を食べ、ラーメンで〆て満腹になっている。

 最初こそ、戸惑っていたが、食べ始めるとフォークとスプーンが止まらないほどの食べっぷりだったらしい(エル談)

ラーメンを食べる前にスープが無くなったからお客さんには、スープを飲まなかったらお楽しみがあると伝えて欲しいとエルに言った。

 漁師さん達はご機嫌で鮭を1人2本づつ持って帰った。

 それでもまだ山になってる鮭。ちゃんちゃん焼きにしてワルトとヒュー一家に食べさせて後は捌いて一匹ごとにパックして氷室に突っ込む。あすは酒かす鍋だ。

 そんなことをしてる内に酒場が開店の時間になった。

 入口に値段を書いてたら誰も来なかった!

サクラとしてエルフ達を店の玄関から招いたが、なしのつぶてで2時間が経った。


やっと1人目の客が来た。

 1人で鍋を食べる模様。鍋を見て1口食べてパートナーにも食べさせていいかと聞いたらしい。俺に聞きに来たのでOKを出したら、続けて来た客達も同じようにテイムした魔獣に食べさせていた。


「冒険者たちは、ソロが基本だから、こうなると思ってた!」


厨房から店内を覗くヒューが楽しげに言う。

ああ、一人の客が鍋をパートナーに取られてもう一度鍋を注文してる。

 かわいそうなので、豚骨ミソラーメンを野菜炒め載せでサービスした。まだ、〆てなかったので。男は喜んで食べていた。

 さて、ミソを作リ置きしよう。洗い物もそんなにヒドくないし、言ってみればヒマ?

今しかチャンスは無い。

 洗い物はヒューがしてるし、氷室から鍋出したりスープ入れたりはレイチェルさんがしてるし、俺の手は空いてる。

でも、大豆半日近く蒸して、潰して米こうじと塩混ぜて茹で汁を入れてこねて丸めて壺に詰めて空気に触れさせないようにして重しをして、また包み保存。時々ひっくり返しながら半年経ってようやく食べられるようになる。

 作り方は簡単なんだが、塩もたくさんいるし、米こうじを作るのが大変だった(言いっぱなしで他人任せだったけど)


ミソを仕込んでる内に営業時間は終わりを告げ、200個の麺は16個しか残ってない、大盛況ぶりだった、

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