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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
30/107

準備中

ヒューさんには野菜の下処理の仕方から教えた。

何故か家族全員で見守っている。

野菜の下処理は問題なくできるみたいだ。皮むきの仕方も教えたら、付いてくる。

 ふーん。筋は悪くないな。

なんてのんびり思ってたら、レイチェルさんとエルさんが皮むきし始めた。

 さすが主婦手慣れている。ただ、この剥いたじゃがいもの山をどうしようか?


◆○◆○◆


「まあまあまあ!素敵!」


ワルトにお願いして角ウサギを獲ってきてもらい、解体から教えてみた。ヒューさんの解体はプロの腕前だった。

 ウサギ肉のシチューとポテトサラダ、じゃがいものポタージュ、じゃがいものグラタンを教えながら作って、いざ実食!…させてる間に建築現場に、シチューとサラダの差入れ。

 ワルトに乗ったら、あっという間の距離だった。王都のタウンハウスを建ててくれた4人のエルフとイオレさん達2人が合流してもう、内装まで進んでいた。


「お疲れ様です。お昼ご飯を持って来ました」


「「「「やった!ナナ様のご飯」」」」


イオレさんとリズレイさんは何だかわからないという顔をしていたが、食べ始めるとシチューを貪るように食べ、ポテトサラダの争奪戦に加わっていた。


「明日は?!」


「来ますけど?」


「「「「「「「ヨシッ!」」」」」」」


「じゃ、また明日」


「ちょっと待て!この店明日には出来るぞ!」


「ええ?!」


どうする?!ガスパールに連絡してかねてから開発してたあれと食器をマズルカ商会からありったけ買って来てもらおう!

 ウェルバー男爵領から親父に野菜を運んでもらって明後日から開店するぞ!

 他の3店舗を運営するお金が欲しい!

頑張るぞ!

 手紙をカレッドさんに魔法で送ってもらって、あとは、メニュー開発とヒューさんの修行を明日までに終わらせて、あ、各ギルドに居酒屋のお知らせのチラシを貼らないとな!

ああ、忙しい!


◆○◆○◆


領主生活4日目。

 徹夜でメニューは作った。従業員が少ないから、作るのは一品だけ。後からメニューは増やせばいい。

 酒類は今日の夜遅くエルフの里から届く。

ひと樽銀貨1枚支払うつもりだ。

 ガスパールが何と言っても、だ。

ガスパールとヨールも今夜ドラゴン便で来る。

 店が出来たらヒューさん達の引っ越しもしなけりゃならない。

 やること満載だ。


「ワルト、鳥獲って来て!」


『な~ご♬』


館を飛び出していくワルトを玄関から見送って厨房に行くとベシャメルソースを作っているレイチェルさんがいた。

なけなしのパンを使ってクロックムシューを作って朝ご飯にするとヒューさん一家はベシャメル教信者になった。

もう、野菜がキャベツしか無いので、お昼ご飯はワルト頼みである。

ワルトは30分経たない内に帰って来た。

 オーク2匹を尻尾で絡めて引きづって。

厨房の裏口に軽い猫パンチして、勝手口を開かせると、俺の胸に褒めて褒めての頭グリグリ。俺は激しく撫で回した。

 

「よぉし!よくやった!偉いぞ!」


『ごろな~ん♬』


早速、オークを捌いてミンチにする。

キャベツは丸ごと茹でて1枚づつ剥がして芯の膨らみを削いで、塩コショウで味付けしたミンチを小切れにして1枚づつまきまきする。

オークの骨から取ったブイヨンでコトコト煮込んで塩コショウで味を調えたら出来上がり。

一つでも大ボリュームだから、5つづつ木皿に盛り、スープをかけてヒューさん一家に配膳すると大絶賛の大満足だったようだ。


カレッドさん達の建築現場も、大盛り上がり。


「出来たぞ!引っ越し手伝ってやる」


マジか!よっしゃあぁあああ!!


引っ越しは、大変だった。3階だもんな!


厨房に入って見るとオーブンが2つ設置されていた。石窯もあって、色々と使えるなあ。

領主館から調理器具を持って来て店の厨房に据えると、それらしくなってきた!

とりあえず明日の営業の為にオークの骨で大量のブイヨンを煮出しておく。


夕飯はエルフ達も一緒にトンカツ(オークカツ)定食だ。


別の場所でもう1軒のカジュアルな酒場を建て始めたカレッドさんが、店の厨房に飛び込んで来た。


「ウェルバー男爵がドラゴンで来たぞ!」


「何処に行きました?!」


「領主館の前に行ったから幌馬車に野菜積んでおこうか?忙しいだろう」


「積んで持って来て下さい。夕飯は用意してあるんで、旦那様も一緒にご飯に連れて来て下さい」


「わかった!」


「あと、これを。ドラゴンさんに」


オーク肉の塊をカレッドさんに渡すとトンカツを作り始めた。

 昼食を食べてからまた狩りに行ったワルトも呼び戻して、親父に会わせてあげたい。

トンカツが全て揚がったので裏口から外に出て指笛を吹く。

名前を呼ぶのはワルトに取って危険だし、指笛で分かってくれたら、儲け物だ。

 最初に見えたのは土煙だった。


「わぁああ!?人食いヴァンデだ!」


「助けてくれ!」


帰って来たのはいいけどめっちゃ、誤解されてる!

大通りに出てワルトを両手を広げて待つ。


「シルバー!おいで!」


愛称を付けて人前では呼び分けよう。ワルトは、猛突進する手前で前足でブレーキをかけ、口に咥えてきたワルトの半分くらいあるデッカイ魔鳥を俺の足元に置き、胸に頭を擦りつけて「褒めて褒めて」のグリグリ。可愛い…

俺は街の人々にわかるようにワルトの頭から背中にかけて大げさに撫で、大きめの声でほめた。


「よぉし!偉いぞ!よく獲って来た!」


「テイムしたのか?!」

「あんな奴この領にいたか?誰だ?」

「カシュガル川で鮭漁がようやくできるな!」


ざわざわと話す人達の間を抜けて、うちの幌馬車がやって来た。


「はっはあ!やったな!ナナ!!念願の銀のヴァンデ、テイムか!すごいぞ!どうやってテイムした!?」


親父。うるさいよ!なんで御者席にいるのさ!

親父は武骨な簡易礼を俺の前ですると、いきなり口上を述べ始めた。


「この度の叙爵おめでとうございます!立派な領地を陛下より頂いたとお聞きして矢も楯もたまらず馳せ参じました!我がウェルバー男爵領をこれからもよろしくお願いいたします!」


「ウェルバー男爵、祝いの言葉、身に染み入る。そなたの領地の野菜は味が濃くて新鮮だ。こちらこそ幾久しくよろしく頼む」


周りが一斉にひざまずく。

周りに向かって声を掛ける。


「皆さん、初めまして!ナナ=ミュラー=クロワッサンと言います!新たにこの領地の領主となりました!この銀のヴァンデは俺のパートナーです!毎日、狩りをしますが、人に襲いかかるような子ではありません!安心して下さい!鮭も時々は獲りますが独り占めはしないと誓います!

 以後、私を見かけても公の場じゃ無い限りひざまずく必要はありません!

 明日からここで、酒場と宿を開店します!よかったら、食事に来て下さい!」


言ってる間にワルトが獲って来た大きな魔鳥と幌馬車に積んであった木箱に入った野菜が店の中に運ばれて行く。エルフ達のバケツリレーは見事だった。


立ち上がった街の人々に笑顔で手を振って店に入るとワルトがトンカツを爆食いしている。親父が1枚づつ与えているが、自分たちの分は残ってるんだろうな?!

かろうじてエルフ達の分は確保出来た。

 一発殴った。賄いの怨みは深い。

まあ、街の人々にアピール出来たし、その分優しくしてやるか。

 その夜は模範的な息子役を演じた。図に乗って手持ちの酒で酔っ払ってクダをまきはじめた親父は、王都から帰って来たガスパールに瞬殺されていた。ガスパールが怖い!


「ヨールは?」


「家族全員で移住するので少々時間がかかると言ってました。ショルツもお嫁さんとくるそうです」


ショルツも!! はは、うぬぼれてもいいのかな?2人の期待を裏切らないよう頑張ろう!

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