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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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講習会《2》

王都8日目。今日もまた王宮詣でだ。

もう馬車も衛兵に覚えられた。

今日は何故かバール会長も呼ばれている。ガスパールが、一緒だから下手こかないだろうけどな。

今日は調味料の講習会なのでお城のコックさんズの料理を食べてもらう。

パンズの焼き方教えてハンバーガーを作ってもらう。

教えるのはケチャップとマヨネーズ、各種ドレッシングにトンカツソースに似たもののマイナーチェンジや、ミートソース、ベシャメルソース、デミグラスソース、トマトソース、コンソメスープなど夜中までかかって講習した。グランシェフのラデック男爵は、不吉な予言をした。


「ナナ様は絶対普通の生活が送れない」


「……ソレは嫌!」


「嫌かどうかの問題じゃない、まあ、見てろ?えらい事になる」


◆○◆○◆sideガスパールとバール会長


「えらい事になってしまった!」


息子のバールの言い分は満足気だ。そりゃあそうだろう。最高の取引。最高の後ろ盾。

ガスパールはロギに勝手に決まった出来事をどう伝えるか悩んでいた。

 きっと、ロギは怒るだろう。だが、マイナス面だけじゃないのでソレで説得するしかない。ガスパールの孫のデュバルは少しは使えるだろうか?青の月の始めから扱く!


真夜中、疲れた顔で謁見の間に近い応接室にロギがやって来た。

待ちくたびれて、執務してた宰相のイスカールトンが「跪きなさい」と平坦な声でいいロギが従う。


「ナナ、そなたの美食への探究心とその技術力を陛下以下7名の評議会委員が認め、ここに準男爵の地位とタウンハウス、そなたに相応しい店を贈呈する。


 王室御用達の看板を掲げる限りはそれ相応の覚悟を持って料理長を勤めなさい。

なお、家名と店は追って通達する!」


読み上げた書状を宰相はロギ様に渡し、ロギ様の胸に勲章を付ける。


「……雨の日も晴れの日も嵐の日も弛まぬ努力をし、陛下以下7名の評議会委員の皆様方の名を穢さぬよう粉骨砕身して励みます!」


おや?割りと怒ってない?

振り返ったロギ様は諦念の顔で私たちの元に来ると深いため息をついた。


「帰ってからお話しします」


「ん、馬車の中で寝ていい?」


「いいですよ」


本当は赤さんだからもっと寝たいでしょうに。私はロギ様にヒドい事をしている自覚があります。

 しかしながら、赤さんでも、聡明なロギ様を放っておける状況ではないのです!

それに、私が借金の型に取られたので仕方なく、です……。自分が情けのうございます!

反省してるうちに実家に着きました。

 お可哀想ですがロギ様を起こします。


「ナナ様!着きましたよ?」


「ごめん、話明日の朝にして。俺限界」


ボソボソと呟くと眠ってしまわれました。


「私が運ぼうか?父上」


「すまない、バール」


バールがロギ様をゲストルームまで運ぶ。ベッドに下ろして靴を脱がせても、一向に起きなかった。


「父上、彼が目を覚ます前に契約書を作っておきましょう」


「そうですね」


商会の会長室に移動して今日の陛下に許された取り決めを契約書に落とし込んで行く。


1、マズルカ商会はナナ準男爵が扱う全ての食材を調達すること(金に糸目はつけない)


1、マズルカ商会は、ナナ準男爵を支える料理人、及び給仕に至るまで責任を持って用意すること。


1、ナナ準男爵を支援する限り王室御用達商会とする。なお、これはナナ準男爵が望まない限り無効とする。


1、ナナ準男爵が働く店は王室御用達店とする。


他にも細かな取り決めが続くが、他は普通の契約書と一緒だ。


「幸運の使者ナナ準男爵様、これからも恵みを与えて下さい!」


「店の利益の2割はナナ様に!」


「2割は強欲でしょう?!父上」


「誰のおかげで御用達商会になったんです」


「ウウウウ!それでも1割です!」


翌朝早くロギ様に止められるまで言い争っていたら、ロギ様はバールに利益は0,5割でいいから、サラ様の嫁入り道具のお金を貸して欲しいと言ったのです!!なんてことでしょう!

マズルカ商会は家具も取り扱っておりますから、簡単なことです。

 しかし、ロギ様のその対応が功を博して利益の1割はいただけることになりました。

サラ様の事情を知るとドレスから宝飾品までバールは抜かる事なく花嫁支度を整えてくれました。

 支払いは毎月定額で、と決まりロギ様の顔にも笑みがこぼれました。


「実はナナ様がロギ様だとバレていました。人魚の若芽茶で大人になったのもお見通しでした」


「オーキンス様そっくりだしな。そりゃわかるって!」


「タウンハウスが見たいんだけど、案内してくれない?ガスパール」


「……ナナ様、タウンハウスが欲しいから黙って叙勲されたのですか?」


「昨日の昼に親父が厄介事行って来て困ってたんだ。淑女学園の寮が老朽化で青の月から立て直しするんだって。来年の緑の月まで寮が使えないから代わりに借家を借りてくれ、って今、言うんだぜ!シルフィ姉に赤休みが始まった頃に聞いといて」


それは私でも怒るし、困ります。


「ご案内いたします。バール馬車借りますよ」


「誰か使用人を2人ばかり掃除の格好で連れて来い」


さすがバール。気が利きます。

ロギ様はまだ眠そうです。

ここは私が見て参りましょう!


「ナナ様、今日も昼から講習会がありますから、それまで寝て下さい。物件は私が見て参ります」


「いつもありがとう。お願いします」


◆○◆○◆sideナナ(ロギ)


「ふあぁあああ!よく寝た!」


ベッドに上体を起こし、天に拳を突き上げてアクビしながら言うと小さな笑い声が部屋の隅から聞こえた。


「おはようございます。ご主人様。青の月からウェルバー男爵領でお世話になるデュバルと申します。香草茶をお飲み下さい」


「お、おう!ありがとうデュバル」


香草茶が用意され、ちょいしょっぱいそれを飲み干すと驚愕の事実が告げられた。


「ご主人様は1日半寝てました」


「げっ、講習会!」


「明日に日延べしてあります。お小さいのに、よく頑張られました」


「あ、あのなぁ?俺が好きでやってるんだからお小さい、とか言うな!侮辱だ。でも、講習会を日延べしてもらったのは助かった。ありがとう」


デュバルは小さいバール会長みたいな容姿をしていて、他人を無意識に見下すクセがあるらしい。

 コレがガスパールの代わりとは、頭が痛い。


「では、一つ。大人なら、予定ぐらい守って下さい!迷惑です」


バンとゲストルームの扉が開き、目をギラギラさせたガスパールが立っていた。


「ヒィ?!お、おじいさま」


「デュバル、下がりなさい」


プッ、どんだけ怖いんだよ!ガスパール。

デュバルをゲストルームから追い出したガスパールはタウンハウスに引っ越ししようと言う。

俺に異論はない。

だが、講習会がある。


「あんなものしなくていいです。店が開いたら稼げますから、ちゃんとお休みしましょうね?まだ、顔色が悪いですよ」


ガスパール、大好きだ!


タウンハウスはドラゴンの飼える前庭付きで親父達が先乗りしていた。

 庭がメインなのか、屋敷はさほど大きくなかったが、姉が来ても2人一部屋で暮らせる。

2階に6部屋、1階に居間と食堂、風呂とトイレ、使用人の部屋が2つ。

2階にゲストルームが一つある。

今は親父が使っている。

使用人はまだまだ若いお母さんベーネとサラと同い年のリムがこの家の家事炊事来客全般に対応してくれるという。

 ガスパールは実家から通ってくれるらしい。やったぁあああ!


「うちのお嬢様方の処分が進みそうです。あ、5日ほど留守にします。王宮からお迎えが来たら一番綺麗な服を着て、胸に勲章をつけて登城下さい。では、行って参ります!」


親父が手招きしてるので近づくと、耳元でガスパールに聞こえないように囁かれた。


「この家見張られてるから今夜から護衛を2人雇った。金は支払ってるから、ガスパールが戻るまで気を付けるんだぞ?護衛の名前はカレッドとビオラ、男女のパーティーだ。

俺の後輩だからかなり優秀だぞ!ま、5日間気張れ」


そういうとマズルカ商会のデュバルと親父、ガスパールを乗せてウェルバー男爵領へと旅立った。

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