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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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クロワッサン領出店準備

◆○◆○◆sideガスパール


若い人というのは無茶をしたがります。

 ナナ様はヴァンデをテイムして参りました!

 銀色のヴァンデなど初めて見ました。大層美しいですが、躾けられてません!

 コラ!いくらナナ様のベッドが大きいからといってお前のような巨体が乗っていいわけないでしょう!

 私とヴァンデは睨み合っておりましたが、部屋着に着替えたナナ様はベッドに乗ったヴァンデを枕にして眠ってしまったのです!

 ぐぬぬ、畜生に負けてしまいました。


敗北感を胸に、ナナ様の寝室を出るとカレッドが応接室のソファーに一杯やる準備をして私を待っていました。


「情報を知り合いの冒険者から引き出して来た。飲みながら話そう」


「冒険者ギルドはどうです?」


「貴族のことを嫌悪してる。前の領主がよっぽど、だったからな」


「では、ナナ様に挽回の機会は無いと?」


カレッドはニヤリと笑って今日のテイムの一部始終を私に話してくれた。

 あの畜生は存外危ない者だったようですが話してる内にオーキンス様のテイムし損ねた個体だったことを思い出しました。

 通りでナナ様が嬉しそうなはずです。

あの話を聞いているナナ様は本当に楽しそうでしたからね。


「まあ、酒場の1軒や2軒、作れば仲良くやれるんじゃないか?ナナ様の料理美味いし」


「カレッド、大急ぎで酒場を建ててくれませんか?」


「ああ、5日欲しい。イオレ達も巻き込んで超特急で建てるから大金貨2枚ね」


「料理人の募集もしなければなりませんね。何かと物入りですから大金貨1枚と金貨5枚で」


「な?!ちょっとそりゃあヒドい!俺だけならいいけど、あと7人はいるんだから、金貨1枚づつ以上は欲しい!大金貨1枚と金貨9枚!」


「木材はさほどお金がかからないんでしょう?大金貨1枚と金貨7枚!」


「ケチーーーーーッ!」


ふふふ、勝ちました!

 いいお給金もらっているんですから、欲をかかないのですね。


◆○◆○◆sideナナ(ロギ)


ケチーーーーーッ!


突然聞こえた大絶叫にがばりと上体を起こす。ワルトは眠っている。

 俺はベッドから降りる。

 部屋着の上にもふもふの毛皮のジャケットを羽織って寝室を出るとすぐ隣の応接室でガスパールとカレッドさんが酒盛りをしていた。

カレッドさんは少し酔ってるようで、ガスパールを睨み付けて悪態をついている。


「ケチ!ケチ、ケチーッ、クソジジイ!」


「ナナ様、起こしてしまいましたか。酔っ払いの戯言です。さ、眠って下さい」


いや、寝られないし。

厨房で枝豆を塩茹でした物とあり合わせの物で作ったブルスケッタを木のトレーに山盛りにして二人の元に戻ると、家の設計図をカレッドさんが書いていた。


「カレッドさん、店と宿が一緒になった3階建ての店舗を2つと、ちょっと小綺麗な酒場を50席ぐらいで良いから1つ。素泊まりの宿だけの3階建てのを1つ、緑の月が終わるまでに作って欲しいんだ。ガスパール、従業員は心配しなくて良い。

料理人は1から仕込む事になるから、一つの酒場だけをやりながら、仕事を覚えさせる」


「良いけど、何処に建てるよ?この領、自然を壊さないように、っていう法規があるから、結構面倒だぞ?」


「街中の廃屋を倒してそこに建てるしかないね」


「あんまり本店みたいな大きな建物は無かったぞ、ナナ様」


「50席位の小さい店で、良いみたい。パン工房も欲しいんだけど、さすがにお金がねぇ、あと、そんなにたくさんのお酒をマズルカ商会は仕入れ出来る?ガスパール」


「酒は大口取引になりますと国王陛下の許可と白金貨1000枚が必要なんです。許可は下りるでしょうが、お金が何ともなりません!」


ゲッ、そんなに金無いし、どうしよう?


「俺が何とかしましょう!」


トマトとバジルのブルスケッタを食べていたカレッドさんが不適に笑う。


「お金を?」


「酒をに決まってるだろ!第1便で唸るくらい持って来てやる!」


「ありが「ひと樽幾らです?」」


怖いよ!ガスパール!顔が特に!!


「銀貨1枚でどうだ!ケチジジイ」


「小銀貨8枚!」


カレッドさんは苦笑して手の内を明かす。


「エルフの里で作ってる神様に献上してる美酒だから、最低銀貨1枚は欲しいんだ」


「1口飲んでからお値段は決めます!」


「ガスパール。お願いするんだから、値段ぐらいは言い値で頷いてあげて」


「いいですか?ナナ様。神様に献上してる美酒だろうが、飲んでみなければ全て噓っぱちです!本当に美酒なら心を尽くして謝りましょう」


「その言葉覚えてやがれ、ケチジジイ!」


「はいはい。ナナ様、従業員はどこから集めたのですか?」


「冒険者辞めた人達が家族連れでここに来るように言ったから、まだ、何人かわかってないんだ」


「「おい!」」


「厨房に旦那さんが立ってもらって、表に出るのは、若者と女の人にする。だいたい、2家族で1軒の酒場を運営してもらうから、3階は2家族分の居住区にしてくれませんか?カレッドさん」


「ふんふん、なるほど。宿だけのはどうするんだ?」


「それは、来てから決めます」


「オシャレな酒場には美しい給仕が必要でしょう?」


「そんなもの知るか!ゴツコワのおじさんたちでいいよ!」


どうせキレイな人が給仕してたら、またややこしい事になるんだから、おっさんでいい!


カレッドさんが大爆笑している。

 ガスパールは困り顔だ。


「気持ちは解りますが、一定以上の容姿の人じゃないと客が避けます。胆力のある人を募集しましょう」


「いざという時は俺が出て行ったら迷惑客が引っ込むかな?」


カレッドさんとガスパールは視線を交わして頭を左右に振った。


「【子爵】では、まだまだ弱いでしょう。……そう言えばパン工房も作りたいとおっしゃってましたね。ハリーとマッドを呼び寄せましょう!パンは誰でも作れますから!呼び寄せても大丈夫です」


そんな簡単に決めていいのかよ!


「それいいですね!そうしましょう!じゃ、王都までちょっと行って来ます!護衛はヴァンデに頼んどいて!」


夜明けを待ってドラゴン便でカレッドさんは王都に行ってしまった。


 俺とガスパールは昼まで眠ってお腹が減ったワルトに起こされた。

 鮭がたくさんあるので鉄板でちゃんちゃん焼きにして3人(?)で食べた。大ボリュームで大変美味しゅうございました。

 ワルトがご飯のお礼に俺の顔を凶器かと思うザラザラの舌で何度も舐めていた。

 嬉しいけど、痛い。

夜になって、カレッドさんとヨールが領主館に来た。


「俺、3連休ッス!面白いことしてるって聞いたッス。メニュー開発手伝うッス!」


「本店は大丈夫か?お前が抜けて」


「今、ちょっと俺微妙な立場で、困ってるんす。その相談もしたくてナナ様の所に来たんす」


「そうか、じゃ、泊まっていけ。いくらでも部屋はある」


「はいっす!」

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