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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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波乱のカウントダウンパーティー

【デザート・ナナ】が開店した翌日には、王宮の依頼で年越しカウントダウンパーティーの料理の采配を振るうハメになっている。

 

シェフのラデック男爵は俺にパンを任せると言い、煮込み料理やパテを作っている。

 何とかオーブンを3つ空けてもらい、食パンから焼いた。

 バターがリッチな「ブリオッシュナンテール」、素朴な田舎パン「カンパーニュ」、バケットのアレンジパン「チーズフランス」「ミルクフランス」「マヨコーンフランス」「ツナマヨフランス」。丸いバケット生地に具を包んで十字に切れ込みを入れた物だが、程よい固さとモチモチ具合が具と食べると美味しいし、見た目が可愛らしいから、刻みパセリでも少し散らしたら良いかもしれないと思って作ったのだが、表舞台に出ることはなかった。

 ちょっと大きすぎたのでラデック男爵が、賄いで消費するよう差配したのだ。

 自信作だっただけにガッカリしてるとパンを焼き終えた真夜中過ぎにデザートを手伝って欲しいと慌てて言われ、フルーツポンチとタルトタタンを教えたらタルトタタンが地味だと言うのでデザート担当者に一切れ喰わせたら何も言わなくなった。


「見た目……ね」


レモンタルト、チェリーパイ、ナッツのタルト、ゴテゴテデコったイチゴのホールケーキ。ピンクのアイシング掛けのパウンドケーキ、バラの花びらで飾ったシフォンケーキ。

 ドヤッ!!!

大みそかに当たる今年最後の日。

 俺は差配するよう言われたから来たのにウ・ア・ラ・ネージュと言うメレンゲを茹でてアングレーズソースに浮かべカラメルソースをかけて食べるお菓子をずっと作っている。


 別に俺は怒ってない。

何でそれを見世物にされているのかには怒ってるが。

 何故、本人に聞かずにパーティー会場に引きづり出す?

助手のカザルが俺に言い聞かせる。


「笑顔ですよ?笑顔」


 知るか!クソッタレ王め!こっちが本命だったな?!

 アングレーズソースをやけっぱちで作っているとパーティー会場で騒ぎが起こった。


「私の新しい側妃である、パメラだ」


「パメラです。ガンシャール国王陛下の御子を授かりました。皆、よろしゅう」


 おざなりの熱気に陛下が苛立つ。


「お前達は私に何か思うところでもあるのか!」


「恐れながら申し上げます。男子を授からないからと言って異国の素性も知れぬ女を娶るのはお止め下さい!」


きゃあああああああ!


それから、近衛騎士がパーティー会場に乱入して招待客が次々捕らわれどこかに連れられて行く。

 俺とカザルは急いで厨房に戻った。カザルに抱きかかえられてようやくだ。

国王陛下が殺されていた。

 体の震えが止まらない。リアルに殺人が行われるのを始めて見た。

 怖くて涙が出る。カザルはもうラデック男爵に報告していると言うのに。

 近衛騎士が2人厨房にやって来た。


「いたぞ!」


俺を左右から立たせる近衛騎士達。

混乱状態で力が入らない俺を引きずるようにあの惨劇の舞台へ連れて行く。


「い、嫌だ!た、すけて!助けて!!」


誰も視線を合わせない。

 涙と鼻水を流すことだけが、今の俺に出来ることだった。

 玉座の前には、もう陛下の無残な遺体はなかった。

 玉座には新しい君主が座っていて俺が連れて来られるのを待っていた。


「サンローズ公爵閣下…」


バカ王のよく出来た弟君。金の髪に優しい空色の瞳。穏やかな方だと噂に聞いていたけど、悪しき者には容赦ないらしい。


「怖かったな?すまぬ。さっきの今で何を頼まれるのか怖かろうが、ちょっと協力して欲しい事がある。失敗しても危害は加えぬが、依頼が終わるまで王宮に滞在して欲しいのだ。むろん対価は支払う!どうか、お願いする!ビンガ王国の運命を左右する仕事なのだ」


 逆らう気はない。


「身に余る光栄。感謝申し上げます」


◆○◆○◆


「冒険者の事は詳しくないだろう?」


「……あまり」


サンローズ公爵閣下は黄の月初めを持ってミューシャ国王陛下として即位した。

 その色々忙しい中、濁った緑のアメを手にして、冒険者について俺に説明して下さっている。


「ビンガ王国は、魔獣の素材の貿易で成り立つ国なんだ」


「え?!」


ミューシャ国王陛下は優しく笑って幼子にするように俺の頭を撫でた。


「冒険者ギルドがやり取りしてるから、公には出て来ないけれど、大事な国の事業なんだよ。

 冒険者は大体がソロで活動するんだけど、皆、従魔を持っている。

 自分の相棒としてね。君に頼みたいのはここからなんだけど、この緑のアメを美味しくして欲しいんだ」


手のひらに載せられた毒々しい緑色のアメを俺は食べた。


「あぁああ?!魔獣のテイム用なんだ!吐き出して!!!」


言う前には吐き出していた。何、この激マズアメ!


「作り方を教えて下さい!」


シラン草は、物覚えに効く薬草で、激マズだけど、学生がよく飲んでるんだよ。うちも、磨り潰したのを姉たちがハチミツ入れて飲んでた。

 次はご禁制のアーマ草。少しでも、従う意思があれば、従順になる薬草。激苦。

これをポーションで煮詰める?……何でアメになるんだろ?謎だ。


「ポーションの作り方も教えて下さい」


すり鉢とすりこぎが全ての薬草と共に差し出された。


「あ、ハチミツとミルクとカモミールもお願いします。後は鑑定出来る方を一人お願いします」


「承知した!」


まずは、ポーション。ヒール草と魔石(水属性)を磨り潰して、聖水を混ぜて出来上がり。

 既にマズそう。ガーゼで濾そう!


そこにいる近衛騎士にガーゼを持って来させる。出来上がったポーションは高品質だった。鑑定さん大興奮。試飲しようとしたら止められた。

 ポーションはかけるもので飲む物じゃないらしい。

 そんなの魔獣がますます飲むわけない!人間より、匂いに敏感何だから味覚だってそうじゃないか?!


「飲めないのは何故ですか?」


「魔石が入ってるからです」


「……なるほど」


じゃ、魔石が入ってないポーション作ればいいし!

 


そんな思いつきで作ったポーションはいずれ世界中で使用されるレシピとなった。


鑑定さんは上へ下への大騒ぎで、テイム用アメの作り方処じゃなかった。


シラン草とアーマ草の下処理は料理に当たり前のことしか出来なかったが、渋味が取れて幾分か味もまともになった。

しかし、ガマンして舐めれるくらいの誤差でしかない。

 ハチミツを混ぜたらやっとアメになった。

鑑定してもらったら、薬効成分が全部抜けていると言われた。


 俺のやる気に火が着いた!


何百点もの試作、薬草を変えて甘味料を変えてそれは25日にも渡って行われた。

 お客様の披露宴の準備で店に帰ってまた、続くのだと思っていたら、麦芽糖で作った水飴が、奇跡を起こしてくれていた。

激マズアメの丸薬を水飴が丸ごと包んでくれたのだ!

 結局、薬の作り直しは出来なかったけど改善策は成った。

 鑑定さんことライリーさんと祝杯を挙げた。

◆○◆○◆

ナナ式テイム用アメは今世紀最大の発明と言われやがて薬学が発展するまでの長い間、冒険者達の心強い味方になるのである。

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