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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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お土産の行方

カレッドが建てた屋敷が本邸になったタウンハウスでは、お土産選びに女の執念を見た!

 シルフィ(次女)とソーニャ(5女)が同じ髪留めを選び、それを二人とも離さないで、ぐるぐる回っている。


「私のよ!」


「イヤ!ソーニャの!」


ああ、修羅場だな。俺がお土産を選ばせたりなんかしたから!

 やや、後悔してるとカレッドがリビングを通りかかる。


「ソーニャ様。今回はお嫁入りする姉様にお譲りして下さい。また、ナナ様はお隣の国にすぐ行ってお土産を買って来て下さいますよ」


た、助かった!カレッド、何か好きなもの食べさせてあげるよ!


ソーニャは目にいっぱい涙を溜めて髪留めから手を離した。


「ソーニャ様、我慢出来て偉かったですね。また、綺麗な髪留めを買って参りますね」


「ありがと、ナナ様。大好き」


 さっきまでの暴れ馬もかくやという様子はなりを潜めて俺のお腹に抱きつくソーニャの頭をワシワシと撫でる。

スーシャ(3女)は箔押ししてあるレターセットを、セリス(4女)美しいタペストリーを、イライザ(6女)は、ハチミツ飴を、アリス(7女)は、トムトムのぬいぐるみを選んだ。

 玄関ホールにはあの黒猫画家の絵が飾られた。

 年少組からは可愛いと好評を博したがシルフィははっきり「変な絵」と言った。

 シルフィを嫌いになってもいいですか?


新しいタウンハウスの屋敷の俺の部屋は3LDKだった。書斎では、早速ガスパールが、山ほど届いた手紙の仕分け作業を進めている。


ちなみにゲストルームでは、トビアス様が休んでいる。

 王宮に滞在するのが嫌だと言ったので連れて帰って来たのだ。護衛にはカレッドが付いている。

 俺は今夜から【ビストロ・ナナ】で仕事する。ヨールを早退させて休ませてやりたいからだ。

 他のコックさんズも1人づつお小遣い渡して順次お休みさせる。労いに銀貨5枚づつ渡しても惜しくない。

 まず、買った新しい馬車でマズルカ商会へと借金の返済に行く。

 バール会長はハツラツ笑顔で今日も元気そうだ。

 応接室へと移動して積もった借金を払う。


「全部で白金貨5枚と大金貨2枚、金貨3枚でいいでしょう!」


うわっ、高っ!


「ありがとうございます。ついでにサロンロールの結婚披露宴の見積もりが出来てたら、先払いしたいんですが」


「……それがなあ、白金貨2枚と大金貨5枚くらいは掛かりそう何だが、お金あるかね?」


「そんなに招待客がいるんですか!?」


「会場に飾る生花が時期的に高くてね、それに顔が広いから招待客も豪商仲間に貴族、王族、他国からも似たような招待客が来るから万全の体制で臨むなら白金貨2枚は絶対に必要だ!」


 つまり俺らの面子の問題でもあるのか!


「負けられませんね!お支払いします!」


「最高級の食材を仕入れるからね!」


これで手持ち資金は白金貨6枚程度になった。

【ビストロ・ナナ】へと移動。馬車は安いの買ったから良く揺れる。

 クッションを敷こう!


裏口から厨房に入る。


「「「「「「「「「「「ナナ様、お帰り!」」」」」」」」」」」」


待ち構えられてた(笑)


「ただいま。チビ共、お土産あるぞ!手を洗って集まれ!」


コックさんズも集まった。皆にハチミツ飴を一袋づつ渡して、厨房に便利な調理器具もおいて、まだ、賄いを食べて無いというので炊き込みピラフを炊き、甘口カレー風味のスープを作れば、何だかお土産より喜ばれた。

 チビ共にはアールディル王国のモコモコベストが更にお土産だ。

 お使いに行くとき寒いから使うが良い!


「えー、俺達には無いんすか?!」


「欲しかったのか?ヨール。銀貨1枚で買って来てやる」


「何でお土産に金取るんすか?!ナナ様には人間の心が無いんすか!」


ヨールをからかうと面白い。


「また、来年な。ヨール、もう今日は仕事上がっていいぞ。これ、お小遣いな。よく、頑張った!」


銀貨5枚入りの巾着袋を渡して労えば、ヨールの顔が見る間にくしゃくしゃになり、目元を片腕で隠して男泣きし始める。


「おでじゃ、らめらって、何度もごごろおれたけども!…ナナ様が、がえっでぐるまれ、が、んばる、んだ、って!が、んばっだっず!」


ヨールの様子にドン引き。


「そ、そんなに、お客様すごいのか?」


皆が頷く。ソウルさんがぼやく。


「俺達、ここひと月で、間違いなく作業が早くなったはずなのに、注文書の山がますます増えるばかりで、調理台が狭くなってパン焼いてるのが邪魔なんで、夜中にパンを焼かせてます」


「んー、もう一店舗出した方が良いな…」


早くも限界だ。


「ソレなんですけど、もうちょっと4班が慣れたらにしてください。支店には俺ら2班を行かせて下さい!」


見習いコックをいつの間にか雇ってた模様。


「待って。4店舗目はサロン・ド・テにしたいんだ。ショルツ、覚悟はいい?」


「いや、俺はこの店が良いから、レンがもう少し覚えたら、3班を丸ごとそのサロン・ド・テに移動させる。給仕を募集してくれ」


「んー、わかった!募集しておく」


通路から俺を呼ぶ声がしたので、通路に顔を出すと、レオ達給仕がドッと厨房に入って来た。


「ハイハイ、賄いね!」


「お土産は?!」


レオは怒りっぽいな。

 アールディル王国で有名な銀細工のバレッタを給仕には買って来たのでお小遣いと一緒に渡す。


「お小遣いは、俺がいない間、頑張ってくれたご褒美です」


 給仕の皆が喜んでいるが、何でか俺、給仕達に睨まれてる?

 レオが、レンにハチミツ飴を一つ貰って叫んだ。


「こんな物が買えるんなら給金を上げてくれ!」


「ひと月金貨1枚と銀貨5枚でどう?それ以上はまだ、出せないなぁ」


「「「「「「「それでいいです!」」」」」」」


給仕だけで17人も居るから結構な出費だが、仕方あるまい。


「「「「「「「「「俺達には?!」」」」」」」」」」」


「料理人は昇給を考えてるから、これまでと同様に頑張ってくれればいい」


皆が視線を交わして微笑む。

今、【ビストロ・ナナ】の厨房に正式なコックさんズは、18人しか居ない。後は見習いコックさんズが、9人いるだけだから、デザート担当のショルツ達にシワ寄せが行ってる。

 ショルツは生活魔法に長けているので、それほど大変ではないと、笑っているのだが、どうやら、発酵とか、冷却とか、息をするみたいに魔法を使ってやるので無茶苦茶作るのが早いのだ。

 メレンゲとかも、魔法で混ぜているという噂。ホントかな?

とりあえずレンの店を構えるのが、当面の目標となった。

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