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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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アールディル王国への旅

迎えに来た馬車でアールディル王国の現状を観察して来て報告して欲しいと明け透けに言われてポカンと口が開いた俺をほっとき、ガスパールとビンガ王国(この国)の執務官とのやり取りが続く。

やがて王都郊外の王家専用の発着場にドラゴン便よりも2回り小さな真っ白い巨鳥がいる事に気付いた。

かわいい~~~!!

目がクリッとつぶらで白い羽毛はホワホワ。

荷台が背中に取り付けられてるのが、痛々しい。

 俺と目が合うとご機嫌にさえずった。


クルックル~~~~♬ピヨヨピヨヨピヨヨ♬

御者がニコニコ笑ってピヨヨ(俺が勝手につけたあだ名)を撫でている。

 この世界の騎獣は主人以外には名前を呼ばせないそうなのだ。

 だから、親父のドラゴンも名乗らなかったのだ。

 何でだろうと思ってコックさんズに聞いたら知らなかったのを驚かれた。

やばかった!

 ファンタジー知識は赤さんだから、気を付けよう!

御者さんは近づいてよく見るとアールディル王国の王太子殿下に似ている。

茶パツで緑の目だという事を除けば、だが。


「お初にお目にかかります。クロワッサン準男爵。行き帰りの御者をログマイアー王太子殿下から仰せつかった、トビアス=グレンマイアーと申します!長い道中よろしくお願いいたします」


「こちらこそよろしくお願いします。お疲れでしょう?休まなくてよろしいのですか?」


「大丈夫だ、心配すんな。護衛はいないのか?」


近寄るとグッと砕けた態度で接してくれたのでホッとした。


「じいがいれば、護衛がいるとは思いません」


「マズルカ氏はどう見ても文官だろう?ちょっとここで待て!」


宰相のイスカールトンにトビアスは話し掛け交渉している。

 その時近くにいた近衛騎士5名が捕獲されて急いで旅支度して集まったのが昼前。

あんまりヒマだったから、炊き出ししちゃったよ。クリームシチュー。

 トビアスが5杯もお替わりするから、宰相は遠慮して2杯しか食べなかった。

肉の代わりに入れたベーコンが最高!自画自賛絶好調!


「この国ではコショウって普段使いなのか?」


「そんなわけありません!」


トビアスの問いを宰相がキッパリと否定していた。


「私が使っているくらいで、私も後ろ盾がなかったら使えてませんでした。お味はいかがでしたか?」


「兄貴が褒美を取らせようとするはずだ!」


「え~!?兄弟なの?!」


嬉しげに自慢するトビアス様。


「双子なんだ。似てるだろう?」


「そっくりです!」


「周知の事実だから皆知ってると思ってた。ハハハ」


王族に迎えに来てもらうだなんて恐れ多すぎる!


「まあまあ、硬くなるな。俺、王位継承権放棄してるから、厳密には王族じゃないから、さっきまでみたいに軽~く話し掛けてくれ」


「グレンマイアー閣下、不肖、近衛騎士5名が同行致します!よろしくお願いいたします!」


一緒に行ってくれる5人の近衛騎士は見目麗しく細マッチョ、あ、一人だけゴリマッチョ。

一杯づつシチューを食わせて片付けるといよいよピヨヨに乗る。

 近衛騎士達も魔法バッグで、旅行するようで、座席の下にカバンを押し込んでいる。

 俺とガスパールもそれを参考にした。

 飛行機の座席より快適なソファーに座るとすぐ、シートベルトでトビアス様に固定された。


「話すなよ!舌噛むぞ。じゃ、出発!」




ヒドイ目に遭った。あんなんジェットコースターじゃねぇか?!

もう、国境地帯を過ぎた。

 今日は山あいの村で民泊。貧しい村みたいだったから、炊き出しをした。

カブラ蒸しというカブをペースト状にして卵白と合わせて味付けして蒸した胃に優しいおかずだ。それからカブ菜の炒り煮の具のおにぎり。肉はシシ汁で供給。

 皆、満足いくほどお替わりしたと思ってたが、その考えは甘かった。

 夜中に借りていた小屋が村民達によって襲撃された。死に物狂いの攻撃に近衛騎士達2名が負傷した。

トビアス様とゴリマッチョ、ラークが大暴れして襲撃した村民達を一人一人後ろ手に縄で縛ってゆく。村民達全員が、俺が持ってる食い物欲しさに犯行に及んだと自供した。

 俺は持ってる分の半分の食材を出した。小屋1軒分はある。

 トビアス様を見つめて言う。


「後はトビアス様がなんとかすることだよな?」


「ありがとう。クロワッサン準男爵。必ずやなんとかする!」


「でも、罰として明日の朝まで縛ったままな」


「仕置きは必要だからな」


ちなみにビンガ王国の近衛騎士のケガはトビアス様が持っていたポーションで治った。

夜明けまで後少しだったが、何とか寝る。

 でないと、あのジェットコースターピヨヨで眠れないからだ!

乗り物ってもうちょっと穏やかなものだろ?!

 朝ごはんも炊き出しした。

里芋と大根のこちら世界風スープに新鮮な葉物野菜と今朝取れのイノシシのソテーを挟んだバケットサンド。

 肉はあまりなかったので、サンドイッチは1つ分づつだったが、スープは犯罪者達にも皆に十分に行き渡った。

縄を解いて自由にすると村民達は土下座して謝り、トビアス様はそれを許した。

無事、ピヨヨで飛び立ち、それから8日間は野営で乗り切った。

寒い時期だったので凍死しなければ他は軽微な問題だった。

山賊が襲ってこようが、トビアス様とピヨヨが蹴散らし、魔獣はピヨヨが強いので全く寄って来ないし、メシは俺がいるから問題ない。我が国の近衛騎士は野営に慣れて無いのか、戦闘以外ではお荷物だった。

むしろ、ガスパールの方が役に立つ!ガスパール尊い!

 ジェットコースターピヨヨにもやや慣れた9日目。アールディル王国王都サイヴァンに到着した。


到着した途端トビアス様が倒れた。

 毒を盛った覚えはないので過労と睡眠不足だろうと憶測して、王城の部屋までラークに抱っこさせて運んだが、アールディル王国の者達は「助かった」とばかりに無関心だ。

 仮にも王族なのに何故?!

理不尽さに怒りさえ湧いてくる。

 

「ナナ様」


ガスパールがたしなめるように名前を呼んでくれなければ暴れてたかもしれない。

 フライパンで殴るくらいしか出来ないけど。

トビアス様の部屋まで行くと泣きだす寸前の侍従達が待っていて手厚くお礼を言われて、10日ぶりのお風呂に案内された。

 ガスパールも一緒に入れるくらい大きな湯船だった。

 近衛騎士のラーク達も寒さに耐えかねて一緒に入っていたが、皆、体に刻まれた傷痕が別世界の人達なのだと語っていた。

 ガスパールは俺をお世話するのに忙しくて周りの状況がよく飲み込めてない。


「ガスパール」


「何ですか?ナナ様。目に石鹸が入りましたか?」


「ラーク様達、体の洗い方分からないみたいなんだが、手伝ってあげよう」


高位貴族様が一人で行動するとこうなるのか。

ヘチマのスポンジみたいなのを石鹸だらけにして、身分順に洗って浴槽に放り込んだ。

ゴリマッチョ、ラーク=ハンブル、公爵家3男。

細マッチョその1、エルドーレ=リマーレ、侯爵家次男。

細マッチョその2、リルカーナ=ブレン、伯爵家長男。

細マッチョその3、ロルマレッド=サルニエ、伯爵家次男。

細マッチョその4、ホリゾン=シュルツ、子爵家次男。

皆、金髪に青い目の美形だ。ちなみに第2近衛隊の精鋭らしい。

リル以外は近衛隊に残るメンバーで、この出張が終わったら、魔獣退治に行くのが決まってるという。お疲れ様です。


 お風呂から出たら、更衣室にはアールディル王国の民族衣装が用意されていて、俺だけそれに着替えた。

 ナニコレ薄っ!北国なのに風邪引くわ!!

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