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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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支店について②

皆が過労でボロボロだったから、半日休みで十分な睡眠を取ってからの営業になった。

 

 お客様方、皆さん事情をお知りのようです。貴族階級の方が同情的で披露宴を俺にしてもらうんならお幾ら万円かかるかとさぐりを侍従給仕達に入れて来たので白金貨1000枚かかるとレオにふっかけてもらったが、びくともしない人達に予約を入れられてこっちがびびった。

 幸い黄の月から向こうだったから全部お受けした。

 王家からもカウントダウンパーティーの差配をお受けした。


そんなこんなで2~3日があっという間に過ぎ【ナナのパン屋さん】の開店日である。

2班と3班から惣菜作りに4人投入したが、3時間で完売。また、明日、となったようで、昼前から【ビストロナナ】はやけに混んでいた。

厨房が地獄を見た。

こんなのフィリップ達4班が来る前くらいだ。

青の月41日目が終わったら、コックさんズ皆が床にしゃがみ込んでしばらく無言で立てなくなっていた。

 そうしていても仕方ないから、気合いで俺は立ち上がり全員分の賄いを作った。

 皆、賄いを食べたら生き返った模様(笑)。

片付けや明日の仕込みをし始めた。

ショルツは朝イチで起きていろいろ菓子を作るのでコックさんズの中では一番早く寝る。

4班のラシードが文句を言うのでデザート係に任じてやれば半日経たない内にショルツから「役立たず」の熨斗をつけて4班に返された。


「お菓子作りは向き不向きがあるから、落ち込まないでいいよ。ただ、大変なのは、わかっただろ?ショルツを馬鹿にするな!」


実は結構昨日からグツグツ煮えたぎっていたのだ。仲間の仕事を理解出来ないバカはこの店にはいらない!

 よって、懲罰人事として、【ナナのパン屋さん】の誰かと入れ替えることにしたら、ラシードは真っ白になっていた。お気の毒さま。


ちなみにマッドとハリーは着実にパン職人への道を歩き始めた。

クロワッサン以外なら、もう任せて大丈夫だ。

 クロワッサンは【ナナのパン屋さん】に丸投げした。マカロン生地をかけて焼いてもおいしいのだが、焼き加減が難しくなるから、試していない。

 

それより、どっかに醤油ないかなぁ。味噌は作った。賄いに大活躍だ。

さすがに醤油の醸造方法までは知らないし、大変そうだから作りたくない。

 だからあるソース類をちょっと手を入れテリヤキ風、焼き鳥のタレ風を作ったら、マズルカ商会で飛ぶように売れていて嬉しい悲鳴を上げてるらしい。もちろん売り上げの1割はもらう。俺は善人じゃないから、タダで働いたりなどしないのだ!


2~3日と地獄の日々が続く。

見かねたガスパールが真っ新なコックさんズを10人投入した。4人がパン屋に行った。

 希望に胸を膨らませて来た彼らは、ミンチの山を築くので精一杯だ。

お昼には目が死んでいた。仕方なくハンバーグを食べさせてご機嫌取り。

午後からは、作業を代わってあげていたレン達3班の行いが尊い!

 出勤初日から洋食メニューをフルコンプリートした5班は、野菜の下処理を完璧にこなすチビ共を見て不思議そうな顔をしていた。


チビ共は自分たちが披露宴の戦力として連れて行かれなかったのに腹を立てていたが、厨房にも身分の高い貴族がいて、俺が機嫌を損ね無いように立ち回っていたのを聞いて反省中のようだ。別に気にして無いのに…


試みとして、一日パン屋さんの方に行って見ることにした。

パンをこねるのは手伝わず惣菜作りを手早くする。手が足りなくて困っている所に行き手伝っていたら、始業まで後1時間。

 焼き上がったコッペパンにナナメに切れ目を入れる係と惣菜を切れ目に入れる係に2人づつ分けた。後はサンドイッチの係だ。


「3つ子はパンをこねろ!」


「「「はい!ナナ様」」」


その日は15:00まで営業出来た。

賄いのピザを作ってから【ビストロナナ】に帰ったら、ヨールが声がかけられないくらい怒鳴っていてチビ共が泣いている。


「ソレもできないなら出て行くッス!!」


「おいおい、どうした?ヨール。落ち着け。チビ共が泣いているぞ」


そしてヨールにしがみ付かれて号泣された。ヨールのしていた調理の続きをしながら話を聞くと、新人の5班がハンバーグのタネに卵を入れず成形してしまい、しかも先入れ先出ししなかったらしい、どれが卵が入って無いのか焼いて見ないとわからないという泥沼状態。

そこに大量の注文がガバッと入って泣きっ面に蜂。昨日何をしたらいいか1から10まで教えたのに指示が無いからと棒立ちしてる5班にブチ切れたヨール←今ココ。


5班にちょっとお説教すると、こちらは悔し泣きし始めた。


「指示をききたかったんですが、聞いてくれなくて」


聞いたのがパン職人のマッドたちなら、答えられるわけないし。


「レン、面倒みてやってくれない?」


レンは大変後ろめたそうに目を泳がせて言う。


「今日からショルツさんの弟子になったんで1班にディクソンと移動しました!」


「じゃあ、ケンお願い」


レンの補佐をしていたケンに言えば、すんなり頷き、5班の坊ちゃん達を引き取って行き、まず、またミンチから教えている。

 ウンザリした顔をする新人に声をかける。


「基礎が出来てないと完成しても、完璧じゃない物が出来る。反復練習だけが、自分の自信になる。しばらくは嫌でも頑張れ」


んー?何か良い案無いか。パン屋さんは惣菜作りが大変なだけで、さほど応用力は求められないから、新人たちもイキイキ働いてたよなぁ。

 そうか!ベテランと新人たちを総入れ替えしよう!質より量だ!

かといって3つ子は据え置きだな!


翌日それを実行したらどちらの店にも不利益はなかった。

 帰って来たラシード達も文句言わずミンチを量産している。

 パン屋さんでよほど酷い目に遭ったようだ。

その日の夕方嬉しい事があった!

ミートチョッパーを超えてミンサーを作って来てくれたのだ!マズルカ商会バンザイ!!

そこそこのサイズに切った魔牛肉とオークの塊を筒へインすると箱の中を通って出口のたくさん空いた穴からミンチが出て来る。

 コックさんズが喜びで飛び跳ねる。


マッドとハリーも拍手している。

 ヨールなんか鼻水流して泣いている。


「よがっだッズ!ごれでナナ様がいなぐでも営業でぎぞうでず」


「……そうだった、すまない。ひと月留守にするけど心折れないでくれ。お土産をたくさん買って来る!」


「半月じゃながっだんズか?!」


「行き帰りがあるからな、最短でドラゴン便で10日近くかかるから、青の月50日目に遣いを寄越すとさっき、手紙が来た」


「絶対帰って来て下さいね!」


「ショルツに言われるなんて、何が何でも帰って来るな!」


そして旅立ちの日がやって来た。


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