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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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記念日と採用試験

ビストロ【ナナ】に買い物を終えて帰ってマッドとハリーを皆に紹介。


「モジャモジャ頭のハリーと闇の組織のマッド!パン職人見習いだから、仲良くな!

 それから10日後アイン達3人が独立します」


「「「ぎゃああああああ!!!」」」


「【ナナのパン屋さん】だ。頑張れよ!それまでにマッドとハリーに基本のパンの作り方を叩き込んでくれ」


精神的ダメージを受けた3つ子が涙目でマッドとハリーにパン生地の作り方をレクチャーしている。よしよし。

マッドとハリーは楽しそうだ。うんうん、楽しむことからだね!

クロワッサン生地を仕込むと、ヨールとチビ共が何か内緒話をしている。チビ共が皆お出かけした。いや、お休みだからいいんだよ?

 でも、何だか気に掛かる。


「ヨール!」


「はい!何すか?!」


「チビ共気軽に使ってんじゃねぇぞ?」


「は、は~い」


シュルツもおかしい。

在庫の少ない焼き菓子を焼いているのならわかるが、お高いスフレチーズケーキを幾つも焼いているのだ。


「シュルツそれ「アルバイトです」そうか、ほどほどにな?」


ヨールが焼き肉の用意をこそこそとしている。

 閃いた!誰かのお祝いだな?

俺も後乗りで悪いけど何か作るか!

焼き肉とチーズケーキならサラダが欲しいよな?あ、ピクルスの盛り合わせとかいいかも。焼き肉レタスに巻いて食べたら、野菜不足も解消か!

 仕込みをしながら、準備を進めているとチビ共が戻って来た。

卓上コンロみたいなのを素早く調理台の上に置くソウルさん達。

鉄板を乗せて温めヨールが肉をどんどん焼き始める。俺も皆の前にレタスとピクルスの詰め合わせを置く。

そこにガスパールがプレゼントを持ってやって来た。

皆が席に着いた。

ガスパールが俺にプレゼントを差し出す。


「誕生日おめでとうございます。ナナ様」


……は、は。俺は俺の誕生日をセッティングしてたわけ?マヌケ!

 ようやく1才か。なかなか、長かった。


「ありがとう、ガスパール。ありがとう、皆」


チビ共代表してアーサーがプレゼントを渡してくれた。時計かな?細長い木箱に入っていたのはペーパーナイフだった。従業員皆からの贈り物なんだそうな。

ガスパールはタキシードをくれた。紺に襟が緑のラメの刺繍入りだ。


「派手じゃない?」


「「「「「「地味だよ!」」」」」」」


侍従給仕達が口を揃えて言うから地味なんだろう。

 チビ共に焼き肉レタス巻きを教えてやって、食べさせていたら無くなった。

スフレチーズケーキだけは、まともに食べた。腹より胸がいっぱいで、泣いてしまいそう。

片付けもチビ共がやると言ったのでヨールを誘って【ナナのハンバーグ屋さん】に歩いて行ったら、夜遅いのに大行列だ。


「手伝うぞ?!」


「ハイっす!」


どうにか裏口に回り込み木戸を叩いた。


「ナナです!カイルシェフ!手伝います!」



結論から言うと思ってたより地獄だった。何で全員連れてこなかった!俺。

賄いは焦げたハンバーグ。たくさん焼きすぎてよく見てなかった部分。

仕込みの手伝いは出来ない。

後少しで始業時刻だ。

夜更けの街を走って帰る。


0:00に起きたコックさんズに【ナナのハンバーグ屋さん】のネタを話すと皆がキレイにドン引きした。


「メニューからハンバーグが無くなった訳じゃないから今日も余裕を持って仕込むぞ!」


「「「「「「「「「「オオォオオ!!!」」」」」」」」」


ハンバーグセットはもちろんのこと、ミックスランチ(お子様ランチ)が大人気でヨールと俺はオムライス職人になった。


青の月31日目の売り上げは金貨9枚と変わらず忙しい。

ハンバーグフェスも終わりを迎えないし、惣菜パンだって、どんどこ出ている。

ガスパールにお願いしよう!やはり、まともなコックさんズが欲しい!契約魔法で何とかして貰おう!


◆○◆○◆sideガスパール


「契約魔法ですか?果たして、拘束されると知って引き受ける方がいるかというと難問ですね」


「え?だってソウルさん達は受け入れてくれたよ?」


「もう両足突っ込んでたんで、仕方なく、ですよ。契約魔法は隷属魔法より厳しく取り決められてますからね。……どうしてもとナナ様が言うなら頑張ってみますかね」


青い顔のロギ様。……赤ちゃんなんで、世間知らずなのは、仕方ないです。

 後は私にお任せ下さいませ!


早速、商業ギルドに行き【ビストロナナ】の料理人の募集を掲示板に貼ると、予想を上回る騒ぎになったので、採用試験をマズルカ商会の厨房でやると書き加える。

 今日から3日間朝から昼までの時間帯にすると書いた瞬間から、商業ギルドから走り出て行く幾人もの職を求めている者たち。

 そうそう慌てなさい。席はあまり空いてない。

 カイルがいないならリュシアンが厨房を仕切ってるはず。

 カイル以上に厳しく試験してくれるでしょう。


翌日は大雨が降る中、お客様が途切れませんでした!

 まあ、いつもよりマシなぐらいしか減らなかったお客様にロギ様風に言うならドン引きいたしました。

 給仕頭のレオナルドが「この店の客はキチガイばかりだ!」とぼやいておりましたね。


 料理人達が体調不良を起こし始めました。

特にパン職人の3つ子が音を上げております。

ロギ様は具合の悪い3人を見ると塩水を壺いっぱいに作り始めた。


「ねっちゅうしょう、ぽいな。レン、ミュージ、ケンは代わりにパンこねてくれるか?ガスパール、この3人冷たい所に寝かせてこの壺の水を十分に取らせて。横になって休んでたら、多少は気分が良くなるはず」


「さようでございますか。マッド、ハリー、寮に運ぶのを手伝って下さい」


「「わかった!」」


まともな料理人が手に入ったら、この2人は店の前に立ってもらいましょう。

 下々の貴族が待ち時間に騒ぐのでいい牽制になります。

 ビオラ様は実力はありますがお綺麗ですからいろんな厄介事を引き起こしますし、カレッド様は屋敷を建築中でアテになりません。

 となると、制服とやらが必要ですね。

採寸して作ってしまいましょう。

3階の従業員寮へ3つ子を持って行くのはあっという間でしたが、マッドとハリーの採寸をするのに少し時間がかかりました。


「貴方方は貴族への礼儀作法など簡単でいいのでわかりますか?」


「貴族の出身だからな。給仕でもさせるのか?」


「衛兵を1人づつやってもらうかもしれません。手前勝手なお願いで申し訳ないのですが、厨房では、ナナ様の護衛をお願いいたします。表に出る私では手がどんなに長くてもナナ様を完璧にお守りすることが出来ません。どうか、お願いいたします!」


「頭下げるなよ。じいさん。ご主人様のこと俺達は気に入ってるから、守る!当たり前だ」


思わず涙がこぼれそうでした。

 ロギ様はマッドとハリーに気に入って貰えたようでホッと一安心です。

 【ねっちゅうしょう】とやらは、夜になると厨房に立つまで回復しておりましたが、仕込みが終わると寮に3つ子は追い立てられてました。

採用試験最終日が終わりを告げ、入社した5名はいずれもどこかの貴族階級の厨房から飛び出してきた実力者達で契約魔法で縛られてもいいから教えを乞いたいという料理バカ達で非常に好感が持てた。ソウル達と同類ですね。

明日からは、ロギ様が少し楽になりそうで思わず顔がほころびます。


深夜、店の前に立派な馬車が止まりました。

掃除をしていた私たち給仕は戸惑いを隠せません。

貴族用の扉が手荒く叩かれます。

レオナルドが私と視線を交わしました。


ものすごく嫌な予感がします。

私は気が進まないながらも、玄関に向かいレオナルドに扉を開けて貰いました。


「ナナ=ロウ=クロワッサン準男爵に、必ず本日中に渡すように!返事はいらない」


チラリと見えた封蝋はミレニア辺境伯家の当主印。


「今、読んですぐにお返事いたしますが?」


「読めばわかる!そなた達がどうすべきか!だから、返事はいらない」


ほう、命令書って事ですか?


馬車は来たとき同様に慌てて去って行く。

私はまだ、厨房で明日の仕込みをしているロギ様を訪ねた。

食欲をそそるよい香りがする。


「ガスパール!終わったか?ミートパイ焼いたから皆で食べよう!」


「後でいただきます。まずはこのお手紙をお読み下さい」

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