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貴族転生、チートなしで成り上がれ!  作者: 榛名のの
第2章 学園編
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第6章 エルフの里~修行編~

「まさか、即完売するとか思わなかったね、ロギ」


「娯楽に飢えてるのかな?まさか、里に来て最初にするのが、菓子作りとか、予想外だっつうの!」


地球産の最新式のオーブンに、ガツガツ天板に乗ったガトーショコラを入れて行く。

上火と下火の温度を入力して時間も合わせると自動で焼き始める。簡単!便利!

チェンバーとティムがボンボンショコラを作ってくれてる。

 その他をエルフの菓子職人達が手伝ってくれているのだ。

 俺は偉そうに指示するだけ。

こんなに楽でいいんだろうか?

一応、ガトーショコラは作ってるが、それだけだ。

そう思っているとエルフの菓子職人達がニヤリと笑う。


「私達は産業スパイなんですが、何を安心して教えてるんですか?」


「エルフさん達なら教えても構わないよ。お世話になってるもの」


「「「「「「「「お人好し!」」」」」」」」


ティムとチェンバーが笑ってる。

今日は暑かったので氷菓を作ったら、レシピを買い取りたいと、エルフさん達にマジでお願いされた。

店1軒が高かったので喜んで売り飛ばした。

稔司様の作ったコンフィチュールとアイスとハッキリ味が違うらしくて、違う味の店も作ったらまた儲けるとか、言ってたが、俺達があまりにも貧乏なので救済措置を取ってくれたのだろう。

買い取った店舗で働きたいと言ったエルフさん達に炎の10日間の研修でチョコレート菓子を全部覚えさせ、丸投げして多国籍語勉強会に突入した。


「お前らが私の生徒か。小っこいのに、苦労症だのう。まずは、マーヤ語から仕上げて行こうかのう」


アリアルドさん(数えで1200才)は、そういったきりマーヤ語で話し始め聞き取れ無くても容赦なかった。それを続けて3日目、ようやくチョコレート菓子が食べてみたいと言ってるのがわかり、店まで連れて行き、お茶して帰ってきたら、今度は馬の乗り方を教えてくれるという。

 喜んで教わった。ただし馬が魔獣のバトルホースでメッチャ怖かった!振り落とされたし踏まれそうになった。

鬣を握ってはいけない、という指示を理解したのは踏まれた次の日だった。

 チェンバーは理解していて乗馬の腕前も上がって来てる。ティムはまだバトルホースに触れてない。マーヤ語があまり解らないからと、無理に馬に乗って俺みたいに半死半生の目に遭いたくないらしい。全部ハンドサインで会話した。マーヤ語以外話したり書いたりしたら、勉強を教えないと言われたからだ。あと、自分が知ったことを教えてはいけないと言われた。テストをするんだそうな。

 ティム、何とかしてあげたいのになぁ。

直ぐそこでティムにアリアルドさんが鬣を触らなかったらバトルホースに乗るのは問題ないと教えている。

 でも、アレってまるで触れって言ってるみたいに勘違いさせられるんだよな。

アリアルドさんがティムから離れた。ティムはバトルホースの鬣に手を伸ばして触れた!

俺は乗ってたバトルホースから飛び降り後ろ足で蹴られようとしてるティムを庇った。

 ゴッ!!

痛い!ティムを抱えて移動しなきゃならないのに、蹴られた後頭部が痛くてクラクラする。

ティムの口も塞がなきゃ。マーヤ語以外話したりしたら、テスト受けられないから。


「んー!んー!んー!」


「ティム黙って。俺の下から逃げて。ティムだけなら助かるから、マーヤ語以外話したりしたら、ダメだよ。じゃ、手を離すからね」


「やだぁあああ!誰かロギを助けて!チェンバー!!アリアルドさま!」


公用語話したりしたら、ダメだよって。言ったのに。ティム。


◆○◆○◆


ぼんやり見てるのがセトさんとロクシターナさんとわかり、微笑む。


「ロギ、私達が解るか?」


「セトさんとロクシターナさんでしょう?あれ、何で俺寝てるの?起きる」


ロクシターナさんに肩を押さえられた。


「バトルホースに頭を蹴られたんだ。もう少し寝てろ。聖痕がなかったら死んでたぞ?ベラスティアーナ神様に後でお供え物をしなさい」


「ティムは?大丈夫だった?」


「お前以外にケガ人はいない。ティムとチェンバーにお前が起きたと知らせてくる」


ロクシターナさんが部屋を出て行くとセトさんが俺の胸に覆い被さった。


「死んだかと思った!バカ者!!私はロギが好きだ。死なないでくれ」


思わぬご褒美にデレると怒られた。


「この呑気者!!ニヤけてる場合か!私を抱きしめて安心させてくれ」


「大好き。セトさん。心配かけてごめんね」


ぎゅっと抱きしめると出汁の匂いがする。

花嫁修業してるんだ。


「早く大人になって、セトさんの作った味噌汁飲みたいな」


「味噌汁でいいなら持って来てやる!ちょっと待ってなさい」


涙を拭いて去って行くセトさんを見送るとまた、頭が痛い。自然と眠っていた。

目を覚ます度にメンバーが変わってる顔触れに微笑むと眠るのを繰り返して、ちゃんと起きられたのは、30日後だった。

上体を起こすと部屋の引き戸が開きセトさんが入って来た。


「おはよう。やっと起きられたよ。味噌汁ある?」


「ロギは呑気者だから、半月も寝てるのだ!言語学は解る範囲で私がロギには教える!2度とあのジジイに会わせるか!」


「アリアルドさん教え方がちょっと強引だったもんね。アレじゃ皆鬣に触るよな」


「どういうことだ?」


教え方をマネして見せたらセトさんはブチ切れて荒々しく部屋から出て行った。

 し~らね~。

半月間もムダにされた報復だ。ザマア!


ティムとチェンバーが疲れた顔で部屋にやって来た。


「ロギ!ごめんね!僕が鬣に触ったから!ロギが庇ってくれなきゃ死んでた!ありがとう!ロギ」


「私もあの教え方は無いと思っていたが、ロクにマーヤ語が解らないティムにもやるなんて怒りしか湧いて来ない!セトさんにボコられればいい!」


「勉強は進んだ?」


チェンバーの無表情。コワイ!


「ティムが公用語話したから教えないっていうから、私ももう良いって、言ってブートキャンプに参加してました。あちこち打ち身だらけです」


「いいなあ。あのジジイのせいで半月もムダに過ごした!この怨み晴らさずにいられようか!」


ティムがニヤリと笑う。


「特別なエクレアをプレゼントしない?」


「「いいね」」


ブート・ジョロキア(ハバネロの2倍の辛さ)入りのエクレアを味わうといい。


まだ、歩くのは止めた方が良いと2人が言うのでお粥から始める食生活を受け入れつつセトさんの多国籍語の授業を布団の中で受け、その多彩な授業内容に俺達3人は学ぶことへの貪欲さを思い出すのだった。


床上げしたその日にベラスティアーナ神様に煮込みハンバーグ定食を心を込めて作った。

食べた後の皿に「無理はするな」とのお言葉。優しい方だ。


アリアルドさんへの仕返しは上手く行った。

警戒心無く丸々一本パクリと食べたらしい。

 届けたエルフさんが大爆笑していた。

贈り主が解らぬものをウカツに食べるからだと皆冷たく言ったらしい。

 その後、自分は命を狙われているからと旅立ったらしい。皆、大爆笑して祝った。


「元々アイツはエルフ至上主義者で、人間の事を良く思ってない。稔司様には気付かれないようにしていたから、稔司様も今回の仕業には、いろいろ考えることがあったようだ。ちなみに30日間何も食べずに保ったのは稔司様のおかげだからな。ちゃんと会ったらお礼を言うように」


変な人もいるけど、俺の周りの人達はとにかく暖かいです!

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