⑤再会
タイサ達はグーリンスの西門に辿り着くと、そこにいる衛兵に話を通すだけで街へと入る事ができた。
衛兵が言うには、既に北の街からの早馬により、最優先で通すようにとの指示が出ているとの事らしい。お陰で、細かい手続きが全て不要となり、タイサは衛兵達に感謝の言葉を送ると、大きく息を吐いた。
「兄貴!」「どわっ!」
街に入った途端、馬に乗っていたタイサは急に抱き着かれた。疲労で思わず落馬しそうになったが、エコーがすぐに彼の体を支え、そのまま耳元で抱き着いてきたのが妹のカエデだと呟いてくれる。
「カエデか? どうしてこんな所に?」
「良かった………本当に無事で良かったよぉ」
カエデはタイサの首に抱き着いたまま泣いていた。
思えば家を離れて既に五、六日。当初は四日で帰ると伝えられていたカエデが、一向に帰って来ない唯一の家族を心配しない方がおかしい。タイサは済まなかったと何度も呟き、カエデの体を抱き返した。
「全く、色々大変だったんだぞ?」
商人や冒険者達で混み合っている中から、相変わらず柄の悪い服を着たギュードが現れ、頭を掻きながらタイサを細目で睨み溜息をつく。
「ギュード………お前が連れて来たのか?」
「あぁ、そうだ。お前が出掛けてから四日目の夜からずぅぅぅっと、『お兄ちゃんに会いに行くんだ』とか言って聞かないからな。仕方ないからアリアスに一番近い街まで連れて来たんだよ」
タイサはカエデに声をかけてからゆっくりと彼女を馬から降ろすと、タイサ自身も馬から降りた。
ギュードのお喋りが続く。
「そしたら何と? アリアスの街から逃げてきた避難民がこの街に来ているって聞いてさ。もうカエデちゃんは大騒ぎ! 何とかアリアスの街に行くのを止めてもらって、その代わりに毎日ここで待っていたという涙溢れる話だ………後で宿代請求するからな、もちろん水増し増しで」
「………分かった分かった。それよりもだ」
タイサはギュードと再会の握手をする素振りを見せて近付くと、一気にギュードの肩を掴んで自分の顔に近付けた。
「まさか………妹に変な事してないだろうな?」「ふぁっ!」
ギュードの背筋と顔が凍り付く。
それを聞いていたカエデが、小さく首を左右に振る。
「兄貴、ギュードさんはずっと優しくしてくれてたよ?」
「ほほぉう。や、さ、し、くぅ………と」「ふぁっ!」
タイサが、持っていた騎槍の側面を、ギュードの目の前でちらつかせた。
「カエデちゃん! 今その表現は逆効果よ。あ、それともワザと!? もしかして怒っていたり? あ、その顔は、非常に怒ってますねぇ………いやいやいや、俺、悪くねぇし!」
タイサの持つ騎槍がゆっくりと回転し、太陽の反射をギュードにこれでもかと至近で浴びさせる。
「待て待て待て! タイサ、その武器はまずい! 結構洒落にならない武器だからな!?」
ギュードの言葉に、和んで見ていたエコーの目が急に変わった。




