③決着
「人間を舐めるなよ! 猪風情がぁっ!」
タイサがその場で剣を横に振るうと、巨大なオークの左腕を無数の肉片へと斬り裂いた。
さらに、アロクスに向かって走り出す。
「ルーキーやこの街の人々の仇だ。あの世に行ったら、生まれ変わるまで土下座してこい!」
タイサがアロクスの懐に飛び込むと同時に、巨大な体が次々と細切れになり、大量の血を後方に噴き出しながら肉片も血液も一瞬の存在しか許さず黒い塵へと色を変える。
最後の言葉、断末魔を上げることなく、アロクスはこの世から消滅する。
その場に居たゴブリンやオーク達の生き残りは、長だったアロクスや自分の同族達が、一人の人間に、それも理解できない力によって殺されたことに畏怖し、我先にと一目散に大通りを下って潰走していった。
「作戦………終了だ」
アロクスだった大量の黒い霧が剣に吸い込まれる間、タイサは目を瞑り何かにじっと耐えていた。そして全ての黒い霧が剣の中に納まると、タイサはゆっくりと目を開けて息を吐く。
続いて、足取りがおぼつかないまま地面に落ちていた騎槍の外包を拾うと、黒の長剣を中にしまい、柄の留め具を丁寧に1つ1つ止めていく。
その頃には、ようやくタイサの顔色が元に戻っていた。
タイサは最後の留め具を閉め終えると、大通りに両手を広げながら後ろに倒れ込んだ。
「隊長!」「隊長………大丈夫ですか!?」
バイオレットに担がれながらエコーが恐る恐るタイサに近付いて声をかける。
「あぁ………そう言われたら、大丈夫だとしか答えられないだろう」
タイサは無理矢理にでも、エコー達に笑ってみせた。
そして一時間たったら起こせと二人に言い残し、タイサはそのまま大通りをベット代わりに目を瞑った。




