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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第六章 蛮族を指揮する者
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⑫耐え続ける鉄

 途中で落とした騎槍(ランス)をタイサが右手ですくうように拾い上げ、アロクスに突撃する。


「愚カナ」

 振り下ろされる、視界を覆うほどの巨大な斧。タイサは左腕の欠けた盾で受け流しながらその勢いで体を一回転させる。再び火花が散る中、握った騎槍(ランス)を斧を持つアロクスの右腕めがけて突きを放ち、僅かながらの傷を負わせた。

「あぁ、俺もそう思うよ」

 

 怯まないアロクスが、空いている左手で拳をつくり、タイサの顔を殴りつける。大人の半分はある大きさの青い拳が、タイサの右頬どころか上半身全てに直撃した。

 タイサが頭から地面に叩き付けられ、そのまま二度ほど跳ねる。

「オワリダ」

 石畳にうつ伏せになったタイサ目がけ、アロクスが巨大な右足を持ち上げる。そして、小さな子どもが興味本位で蟻を潰すかの如く、躊躇する事なく踏みつけた。


 だが蟻は耐え抜く。


 地面に巨大な足跡が残る程に石畳ごと沈んだタイサだったが、彼はよろめきながらも両手を地面に付け、ゆっくりと上半身から立ち上がる。騎士の鎧は踏まれた背中が粉々に砕け、起き上がる時には留め具を失って胸当てが落下した。兜は殴られた際に砕け散っており、汗にまみれた短い白髪交じりの黒髪が露出していた。

「さすがに効いたぞ。お陰で鎧も兜もボロボロだ」

 タイサが立ち上がると同時に、左腕の盾も限界を迎え、ついに石畳の上に落下する。

 これだけの攻撃を受けてもなお、タイサの体には切り傷どころか出血すら見られなかった。


「マダ立テルカ。本当ニ頑丈ナ奴ダ」

「………褒めても、お互いに何も出ない―――」

 続いて繰り出されたアロクスの蹴り上げに、タイサがまるでボールのように跳ね上がり、周囲を囲っていたゴブリンやオークを巻き込みながら、バイオレットの隣にあった建物へと吹き飛ばされる。

「サラバダ!」

 膝を曲げ、アロクスが両足で地面を蹴る。周囲の石畳が一斉に巻き上がると同時に、アロクスは周囲の建物よりも高く跳び上がり、吹き飛ばされたタイサの直上へと両足で着地する。

「グッ!」

 だが着地と同時に、アロクスはその場から後方へ下がると、右足を押さえるように膝をついた。


「人間で言えば裸足で針を踏んだ痛みってとこか?」

 タイサは寝転んだままランスを地面に垂直に立てていた。ランスの先端は飛び上がって来たアロクスの自重で右足を貫き、ランスは赤い血に塗り替えられている。

「バイオレット、今のうちに!」

 タイサの声にバイオレットが慌てて周囲を確認すると、今の一撃で蛮族達の包囲が崩れ、大通りから北門へと抜ける道が作られていた。


「了………解!」

 バイオレットは、負傷し意識が朦朧としているエコーの肩を担ぐと、足元が不安定な瓦礫の山を越え、大通りに辿り着く。

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