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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第六章 蛮族を指揮する者
83/119

⑤最後の三人 -衝突―

 タイサが大通りの正面入り口に辿りつく。そして乗って来た馬を逃がすと同時に、南門の方向が騒がしくなった。

「さぁさぁさぁ! 忙しくなるぞ!」

 タイサが大通りの入口に立つ。

 障害物(バリケード)で狭くなった場所でランスを地面の石畳に突き刺し、背中の盾を右手で取って両手で構えた。最後に地面に突き刺した家屋の支柱を背中に当てると、左右の盾をぶつけ合って後方に合図を送る。

 南門の左右から梯子が掛けられ、次々とゴブリン達が外壁を越えて来た。

 まるで泥の波である。

 蛮族達は、崩壊した家や廃材で組んだ壁に沿って一様に大通りを目指して来る。タイサの視界に入るだけでも、百を超えるゴブリンとバウンドドックが正面から押し寄せてきた。


「来るぞおおぉぉぉぉぉぉぁっ!」

 タイサが大声を上げて、覚悟を決める。

 まず先陣を切って足の速いバウンドドックに跨るゴブリンが次々とタイサに体当たりを仕掛けてくる。  

 初撃を防ごうと、タイサが両手の盾を前面に構えた。腰を落とし、左右の足を広げて、あらゆる角度からの攻撃でも体勢を崩すまいと踏み込む。

「ぬううううぅっ!」

 一匹一匹は小さい体から生まれる衝撃とは言え、加速のついた動物の集合体となればかなりの重量となる。馬の駆け足でも、簡単に人を轢き殺せるのだ。タイサは、装甲を纏った馬が衝突して来たかの様な一撃に歯を食い縛り、見事に耐え抜いた。


「ふんぬぅぅ!」

 タイサの体の中から、錆びた鉄が擦れ合うようにきしむ音が立ち続ける。背中を預けている支柱は、文字通り家を支えてきただけあって、軋みを上げつつも、タイサと共に敵の一撃に耐えた。

「こなくそぉぉぉ!」

 両腕だけでは支えきれず、タイサは前面に体を傾けると、自重を含め、体全体で押し返そうと足を踏み込み続ける。


 そこに鐘楼から鐘の音が響き渡った。


 先陣を切ったバウンドドックはタイサの盾と後続のゴブリン達によって挟まれ、身動きが取れないまま藻掻き続けていた。

 一部のバウンドドックや乗っていたゴブリンがタイサの頭上や障害物(バリケード)を飛び越えていくが、着地の瞬間や飛び上がった瞬間を狙われ、エコーと鐘楼から合流してきたバイオレットが弓矢で次々と漏れた敵を仕留めていく。


 ようやく、タイサにかかる衝撃が収まり始めた。

 その直後、タイサは一気に両手の盾を左右に解放し、盾に触れていた数匹のゴブリンやバウンドドックを自分の身長以上に弾き飛ばした。

「どっせぃ!」

 即座に地面に刺しておいた騎槍(ランス)を引き抜き、タイサは腕を伸ばして身動きの取れなくなっていたゴブリンを数体まとめて一気に貫き、そして腕を瞬時に引き戻す。どんなに命中率の悪いタイサでも、相手が動けなければ確実に突き刺す事ができた。


「次っ!」

 タイサの反撃(カウンター)によって、前方に隙間が現れる。それを狙って、ゴブリン達が詰め寄ろうとするが、タイサは再び両手の盾を閉じて相手の侵入を防ぐ。数匹はタイサの横脇から抜けていったが、すぐに後方のエコーが抜けたゴブリン達を射抜き、それでも抜けて二人に近付いてきたゴブリンは、剣を持ったバイオレットが淡々と斬り払っていく。

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