表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/119

序章⑧

「全騎、俺に続け!」

 タイサが騎槍(ランス)を腰深く構えながら地面を蹴って走り出す。そして雄叫びと涎を撒き散らして立つオークの心臓に向けてその先端を突き出した。

 

 だがオークは右足を静かに引くと、タイサの一撃の突きをひらりと躱し、そのまま盾のない右側へとその巨体をずらす。

 相手の一撃を躱せたオークは牙を持つ口でにやりと笑い、背中の腹巻に隠していた面切包丁のような四角い剣を素早く引き出すと、タイサの頭を目掛けて一気に振り下ろした。


「どぉっせぃっ!!」

 タイサは騎槍(ランス)を持ったままの右腕を高く上げ、オークが振り下ろした大きな刃を籠手で受け止めた。

 普通ではありえない。

 頭を守ったタイサの籠手が、乾いた木材が割れていく様な音を立てて四方にひび割れていく。オークの刃は、徐々に籠手に中へと食い込んでいくが、ある深さを境にその沈みが止まっていた。


「隊長、相変わらず外しすぎです!」

 タイサの籠手に剣が食い込み、動きが完全に止まったオークの背中を、馬上のジャックが通り過ぎ様に下から上へと斜めに切り裂く。オークは口から血と泡を零しながら叫び、持っていた武器を手放して後方へと大きく飛び退けた。


「でも、相変わらず信じられない固さっすね!」「本当に。隊長、一体どういう造りをしているんですか?」

 エコーがボーマの合図でタイサの左右から飛び出し、二本の騎槍(ランス)がオークの頭と心臓を横から貫いた。そして二人が馬を下げながら武器を引き抜くと、オークはそのまま地面に伏し、地面の激突で僅かに体が跳ねるとすぐに赤い円を広げ、やがて動かなくなった。


「さぁな。俺にも分からん」

 タイサは自分の籠手に食い込んだ剣を抜き取って地面に放り投げると、敵の刃を受け止めた右手を軽く振りながら何度も掌を閉じては開くを繰り返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ