⑯約束
「だからという程の理由にはならないだろうが………俺はゴブリン程度の攻撃ではやられはしない。エコー、俺を信じてはくれないだろうか」
タイサの言葉に、エコーはすぐに答える事ができなかった。今まで幾度も共に戦い、敵からあらゆる攻撃を受けても、その日の夜には一緒に笑い、酒を飲み交わしてきた姿を見てきてもなお、彼女の中にある自分でも理解できない不安を拭いきる事ができずにいた。
「それでも、まだ不安か?」
「………はい」
仕方がない、とタイサは腕を組んで唸る。そして何かを思いついたのか手を叩き、一つの約束事を持ち出した。
「よし、それじゃぁこうしよう。もしも無事に帰る事ができたら、何でもエコーの願いを一つだけ叶えてやろう! あぁ、それが良い。今まで飯の約束もなし崩しになっていたからな。今まで迷惑をかけてきた分も一緒にまとめてだ」
まるで子どものような提案だったが、エコーは目を丸くして何度も瞬きをしていた。
「何でもですか? 本当に………何でもいいんですか?」
「うむ。何を言っても『いいぞ』と言ってやろう」
タイサは彼女なりに常識の範囲内で頼んでくると踏んだ上で、何度もエコーの確認に頷いて見せた。
「分かりました。隊長の事を信じるので、必ず生きて帰りましょう!」
「お………おう」
さっきまでの雰囲気とうって変わって、エコーのやる気は限界を超えたかのように高まっている。
「………本当に、何でもいいんですよね!」
「お前………意外としつこい性格だったんだな」
タイサは思わず呆れた。




