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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第四章 アリアス防衛戦
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⑪アリアス防衛戦 -流転-

「全騎、構え!」

 タイサと共に、前列が盾と騎槍(ランス)を前へと構え、馬の速度を徐々に上げていく。


 その時、側面を守っていたゴブリン達が慌ただしく動き始めた。


 ゴブリン達は慌てふためて霧散する訳でもなく、貧相な盾を構えて待ち受ける訳でもない。ゴブリン達は盾の裏から短剣を取り出すと、盾を持たない中央のゴブリンが持っていた長い棒の先端に装着、一瞬にして十数本の長槍(パイク)を作りあげた。

 そして長槍(パイク)の柄の部分を地面に突き刺し、剣先をタイサ達に向けると、それらが動かないように複数のゴブリン達が囲むように柄を握り、膝をついて固定させた。


「―――まずい! 全騎停止! 急いで止まるんだ!」

 蛮族達が作り上げたものの意味を把握したタイサが形振り(なりふり)構わず大声で叫び、構えていた騎槍(ランス)を掲げ、左右に激しく振りながら何度も合図を送る。


―――長槍(パイク)

 それは、騎馬の天敵とも言える武器だった。それを地面に突き刺して斜めに待ち構える姿は、歩兵が騎馬による突撃に対抗するための方法と同じ陣形であった。


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ルーキーの馬が速度を落としきれずに止まり切れない。彼は慣性に負けて、馬上からゴブリンの群れに頭から突っ込んだ。

 停まった馬が、粗末な長槍に次々と首元を貫かれて絶命する。ルーキーが空と地面の向きを確認し終える頃には、小柄なゴブリン達に包囲されていた。

「えぇぃ! 畜生めがっ!」

 同様に止まり切れなかったボーマは馬を諦め、ゴブリンの群れに入る直前で自分から横へと落馬する。


 最悪の展開となった。

 タイサは即座に馬から飛び降りると、全力でルーキーのもとへと駆け抜ける。

「エコーはボーマを! 俺がルーキーを引きずり出す!」「は、はいっ!」

 エコーの返答を待たずに、最短距離の延長線に立っていたゴブリンを、盾と騎槍(ランス)でタイサが弾き飛ばす。


「た、隊長! 助けてください!」「ああ! 今行くぞっ!」

 既にルーキーの体に数匹のゴブリンが乗り上がり、朝日が反射して雑に光る短刀を、彼の鎧やその隙間に向けて次々と振り下ろしていく。

「痛い! いだいいだいいだいぃぃぃっ! やめっ! 助けぇぇぇ! 隊長ぉぉぉ!」

「ルーキーっ! こいっ、つらぁぁ! 邪魔だぁぁぁっ、どけえぇぇぇぇっ!」

 タイサがルーキーに群がる無理矢理ゴブリン達の中に割って入る。左腕の盾で前方のゴブリンを引き剝がし、騎槍(ランス)で側面のゴブリンの頭を貫いた。



「た………隊、長」

 ようやく見る事ができたルーキーの体は、鎧の半分が赤く染まり、その隙間から赤い血が流れ続けていた。

「しゃべるな! くっ、引っ張るぞ!」

 タイサはすぐさま彼の鎧の襟を掴む。ルーキーは歯を食いしばり、苦痛な顔を浮かべるが、気にする暇はない。そのまま引きずる様にしてエコー達のもとへと移動し始めた。

 だが、ゴブリン達も黙って獲物が逃げる事を待ちはしない。タイサとルーキーに向かって、十数匹の小さな体が一斉に迫って来た。

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