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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第四章 アリアス防衛戦
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⑦不器用な二人

「そんな物分かりの良い副長に、先着ボーナスだ」

「はぁ」

 タイサの言葉の意味が分からずエコーが首を傾げた。彼はトレーの上に置かれた硬めのパンを口にしながら、倉庫の隅に置かれた小瓶を指さし、それを取るように声をかける。


「毒消しが一本だけ残っていた。そいつを湯を張った桶の中に入れ、明日着る下着や服に染み込ませて一晩干しておくんだ。万が一、毒が塗られた武器や爪が刺されても、服の上からなら毒が回りにくくなる」

 エコーが指示された先にあった小瓶を手に取ると、中には透き通った緑色の液体が入っていた。

「しかし………隊長は持っていなくて宜しいのですか?」

 毒を受けた場合、解毒の魔法か薬を使うしかない。だがどちらにせよ、戦闘中にいつでも行えるとは限らない。どこにでもある話だが、治療ができる場所に辿り着く前に毒が回り、動きが鈍った所を狙われる事は少なくない。


 タイサが鼻で笑った。

「何を今更。知っているだろうが、俺に毒は効かん。ルーキーにはそこまで無茶はさせないつもりだし、バイオレットには………あの鎧があるから大丈夫だろう。だからエコー、それはお前に使って欲しい」

「隊長………」

 エコーは小瓶を大事そうに握り、タイサの言葉の意味を受け止める。

「もしも俺の身に何かあれば、お前が隊長代理だ。当然お前は死ぬ訳にはいかない」

「そう………ですね」

 望んでいた意味とは違った。だが、エコーは芋が入ったスープを飲み干し、少しむせ返るタイサを見ながら小さく微笑む。無論、相手に分からない程にだ。


「分かりました。ありがとうございます」

 彼女の望む答えではなかったが、彼なりの気遣いを受け取ったエコーは、それ以上何も言わずに毒消しの小瓶を腰のポーチにしまい込んだ。



―――数十分後。


 バイオレット、ルーキー、ボーマの順で倉庫に集まり、使える武具を取り出しては具合を確認し、必要があれば調整を行った。

 地方の屯所故、装備が十分に揃っているとは言えないが、規定通りの予備が存在していた為、剣や小盾、弓等を住民や冒険者にある程度配れる算段が付く。


「今日は、ここまでにしよう」

 倉庫での武具の確認を大方終え、やれる事はやったと、タイサはエコー達に解散を命じた。そして、一時間おきの見張りを再度確認し、それ以外は各自に割り当てられた屯所の仮眠室に向かい、随時休息をとる事を指示する。見張りを挟むが、それでもこの状況で五時間程度の睡眠を取れる事は非常に大きい。

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