序章⑤
「ボーマは左、エコーは右! ルーキーは俺と共に中央の二体を仕留める! 悪いが、ジャックはいつもの奴だ!」
馬がさらに速度を上げる。そして最後まで意地汚く袋の中から食べ物を漁っていた二体のゴブリンの顔が、タイサとルーキーのランスの先端に映し出された。
「怯むな! そのまま走り抜け!」「は、はいっ!」
タイサの騎槍は人間よりも頭一つ小さいゴブリンの顔面中央を貫き、ルーキーはもう一方のゴブリンの右肩を削る。そして致命傷を免れて地面を転がったゴブリンを、そのまま二人の馬の脚で弾き飛ばした。
平原を走る事に特化した動物による足の威力により、ゴブリンは握り拳大ほどの細切れになって四方へと飛び散っていく。
続いて太った騎士のボーマと褐色の肌をもつ騎士のエコーが、タイサ達から左右に避けたゴブリンの横目を貫き、一体ずつ仕留めた。
―――これで四体。
仲間の中で最後尾にいた最後のゴブリンは、持っていたスリングの紐を伸ばすと、走り抜けようとするルーキーに向かって石を撃った。
「わっ!」「大丈夫だ、問題ない」
新入りが狙われたが、タイサは動じない。
自分に迫る石に思わず目を強く閉じたルーキーだったが、石は彼の鎧に当たった途端に青白い光を放ち、砕け散る。光は細かい粒子となって鎧を沿う風に乗って消え、鎧には傷一つ付かなかった。
投石にも動じず突撃を続ける騎馬隊にゴブリンは一瞬驚くも、すぐに細い足で地面を蹴り上げ、タイサ達の上を飛び越える。
だが、ゴブリンが着地した目の前には、銀色に輝く刃が待ち受けていた。
「はい、ご苦労さん」
後方で距離を取っていたジャックが、枝を掃うようにゴブリンの首を綺麗に斬り落とす。




