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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第三章 西部巡回警備
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⑦異変

「隊長! 街が見えてきましたよ!」

 最後に森を抜けたルーキーが丘の上から見える街を指し示した。

 同じ速度で走れば三十分程だろうか、街の三割を湖と接したアリアスは、遠目から見える家屋の多くは木造だが、街の大通りらしき場所の周りには色が異なる石造りの壁や赤レンガの家も見てとれる。

 その景色の美しさに、全員が馬の速度を自然と緩め、最も高い丘の場所でその足を止めていた。



「………隊長、何か匂いませんか?」

 ボーマがしきりに鼻を空に向けて左右へと動かし、匂いの方向を探っていた。いつもならば、奴の汗の匂いだと誰かの冗談が飛んでも良い振り方だが、それを口にする者は一人もいなかった。


「言われてみるとの程度だが………いや、確かに焦げ臭いな」

 タイサも偶然正面から吹いてきた風の中に、僅かに燻ぶった匂いが混ざっているのを感じ取る。だが森にも目的地の街にもそれらしき煙は立っていない。

 それでも風向きから判断すれば匂いの元は街の方角である事は間違いない。


「隊長、どうしますか?」

 エコーがタイサに判断を求めてきた。

 単にゴミを燃やしているだけか、それとも火事か。最悪は野盗の類か。いずれにせよ確認する必要はありそうだとタイサは判断し、全員に槍や剣を包んでいる袋を開けるよう声を掛けた。また、背負っている盾を腕に掛けるようにも指示し、即時戦闘可能な態勢を命じた。


「全員、兜を着用。陣形はこのままエコーとバイオレットを中心に三段構え、戦闘になった場合の後衛はボーマとルーキー、先鋒は俺が務める。バイオレットはそのまま中段のエコーから絶対に離れるな」

「「「「了解!」」」」

 緊張が一気に高まる。遠足気分が終わり、首から頭に向けて血液が集まっていくような感覚がタイサ達に襲い掛かる。

「行くぞ、全騎前進!」

 馬の腹を蹴り、五人は前のめりに馬と共に風を切った。


 一気に丘を駆け下り、平地を走ること十数分。

 街の東門がタイサ達の目に入るが、入口は簡単な柵を重ねて封鎖されており、しかも衛兵らしき姿は一人も見当たらない。

 やはり何かがおかしい。タイサは盾のついた左腕を大きく外に向けて振って叫んだ。

「このまま左回りで街の外周を迂回する!」

 手綱を操り、柵と石垣が続く街の側面に沿って左に進路を変える。


 南に向かって馬を走らせると、小さな体をもつ個体が南門の前でまばらに飛び跳ねている姿が見えた。

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