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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第三章 西部巡回警備
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③グーリンスの街

 ―――日没から二時間が経過している。


 予定よりも随分遅れたものの、タイサ達は二つ目の街『グーリンス』に到着し、夜番の衛兵に驚かれながらも、無事に東門をくぐる事が出来た。


「みんな、よく頑張ったな。到着だ」

 タイサが全員を労う。


 だが、明るく振る舞っている彼の心の中は複雑だった。


 街に着くまで休憩を挟むつもりはなかったが、ルーキーやバイオレットの顔に僅かな疲労が見られた為、ボーマの提案で一時間の休息を道中で取っている。

 結果として、その決断が到着時間を過ぎた原因である事は分かりきっている。だがそれ以上に、その原因を作ったと感じている二人が到着した途端に安堵と疲労の中に、気まずい表情を混ぜている方が問題だった。

「………くそ」

 タイサは二人の顔を見ながら人知れず眉を下げる。


 目的地であるアリアスの街に一番近いこの場所で、新しい情報が一早く欲しいというタイサなりの理由があった。だが、『新入りが多い状態での移動は、十分な余裕をもって行動すべき』という久しく忘れていた基本に気が付けなかった事に自省する。

 それでも持つべきは戦友か。ボーマとエコーは、タイサに代わって二人の新入りに声をかけ、街についても本来新人が行うべき作業を、適当な理由をつけて引き受けていた。それはタイサにとって嬉しくもあり、申し訳ないとも感じさせる。


「一時間後に、ここに集合する」

 気持ちを切り替えたタイサは、二人に助言を求めた上で、各自に指示を出した。

 タイサ自身はそのまま騎士団の屯所で到着の報告を行い、その後は街の中で簡単な情報交換を済ませる事に。その間に副長のエコーとバイオレットが宿の手配を、ボーマとルーキーが屯所で明日使用する馬の交換を手分けして行う事となった。

 最も負担の大きい荷下ろしや食料や水の補充は、タイサが屯所にいる夜番の騎士に差し入れと称して幾ばくかの金を握らせ、表向きには善意で引き受けてもらう事で同意が成立した。騎士憲章に則れば、黒に近い灰色の行為だが、タイサは止む無しと判断する。


 一時間後。

 屯所に集合したタイサ達は、エコーとバイオレットに先導されながら、賑わいを見せる酒場の大通りを通り、彼女達が確保した西門近くにある小さな宿に到着した。


 王国騎士団に登録している宿であれば、屯所で預かった木札を渡す事で宿代が一泊だけ無料になる。エコーが手配した宿『月夜の籠屋』は、その中でも比較的安い部類に入る。

 しかしながら、既に日が落ちていた時点で宿を確保する事が困難だった。彼女は隊長用の個室が用意できず、男女で二部屋しか空いていなかった事を謝罪してきたが、野宿をするよりかは遥かにマシだとタイサが彼女の肩を軽く叩いて労い、一笑して済ませた。

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