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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第二章 貴族の娘
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⑧団長会議 -部隊編成-

「聞いての通りだ」

 シーダインが短く声かけると、全員の視線と体が一斉に彼へと集まる。


「今回の遠征は複数の騎士団を伴う過去に例のない規模の作戦となる。目的はカデリア自治領の東方に存在する蛮族達の殲滅、及び奴らの集落の破壊である。既に銀龍騎士団が先の任務で複数の拠点らしき集落を発見している。まずはこれらを襲撃し、破壊する事が当面の目標になるだろう」

 そして遠征に参加する騎士団の名前が挙げられていく。

「遠征に出るのは我が白凰騎士団、そして遠征後すぐの出撃で申し訳ないが案内役として銀龍騎士団、その他は紅虎騎士団、蒼獅騎士団を主力として参加させる」

 色付き呼ばれる五つの騎士団のうち四つの騎士団が出撃する事になる。

 続いて後方支援を担当する騎士団が呼ばれていく。

「騎士団『翼』を伝令として、補給線の確保とその護衛には、騎士団『剣』に担当してもらう」

 これで、十ある王国騎士団の内、六つの騎士団が出撃する。輸送や医療衛生等、王国騎士団以外の従事者を全てを含めると、軽く見積もっても動員数は約八千名に達する。


 団長達から驚きの声が漏れる。

 東部が平地を中心とし、蛮族の森と接する面が南北に長いとはいえ、これ程大規模の遠征は前例がない。最早戦争に近い規模の発表に、団長達の目に驚きの感情が沸き上がるのは当然の反応であった。

 名前を呼ばれなかったタイサは親友(デル)の視線に気が付き、小さく眉を上げて口元を緩ませる。それに対して彼は肩をすくめている。少なくとも新婚の奥さんとはまた数か月程会えなくなるのは間違いないだろう、タイサはデルに同情した。


「残りの騎士団は、王城周辺や西部方面の警備の任に努めてもらう。王国騎士団の誇りを忘れず、我々の留守中をしっかりと守って欲しい」

 全ての騎士団を参加させる訳にいかない事は、ここに参加する者ならば説明する必要はない。騎士総長のシーダインは、それでも呼ばれなかった者達への気遣いか、残された者達にも意味がある言葉を敢えて投げかける。

 身も蓋もない言い方をすれば、いつも通り仕事をして待っていろ、という事である。



「なお、私が不在となる間、残留する騎士団の指揮権は金竜騎士団に委任する。イーチャウ団長、後を頼む」

 騎士総長の言葉に、恥ずかしげもなく黄金色の鎧を纏った若い優男が勢いよく立ち上がった。

 亜麻色の柔らかい髪と高身長、細身で美男である事は間違いないのだろうが、自分よりも下の人間を小馬鹿にするような細く垂れた目は、平民から見る貴族を代表するかの如くで、残念ながら顔と性格が完全に一致する。

 誰でも彼と話をしていれば、五分もしない内に自然と好感度が下がっていく。その証拠に、参加している団長の半数以上は、失礼のない程度に、立ち上がった彼の目を見ようとはしなかった。


「はっ。御命令により留守居役を務めさせていただきます。出発される全ての騎士団の武運をこの王都より祈っています」

 貴族を中心に構成された金竜騎士団(彼ら)に何かあれば、国内の貴族と王国騎士団との間で後々大きな問題となる。既に話が通っていたのか、イーチャウ団長は自分の騎士団が選ばれなかった事に不満を吐くこともなく、逆に王都に残るのは当然だと言うかのように悠々と振る舞っていた。

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